第5話 急展開
しかし、それから約1週間後、何と、ホントに驚愕の事件が起きたのだ。
「万博記念公園」の片隅に、明らかに、幼児の骨らしきものが捨てられており、たまたま公園に遊びに来ていたお客さんが、不審に思い警察に通報。警察で、鑑識の結果、本物の幼児の人骨であったと言うのである。それも、熱湯で煮込んだ形跡があったと言うのだ。DNA鑑定も行われたが、しかしながら、現在の日本には、全ての日本人のDNAを保存したビッグ・データなど、まだ、存在しない。
その日は、私が、謎のユーチューブ画面を発見した日から、丁度、3ヶ月後の、西暦2022年9月5日(月)であった。
そんな、馬鹿な!!!
私は、ここで、猛烈な義憤に襲われた。
今まで、ダラダラとこの小説を書いてきたのも、実は、最後に、ネタ晴らしをして終わる予定だったのだ。
ネタ晴らし?
そう、この「狂気のユーチューブ」事件は、今ここで、ハッキリと種を明かすならば、いみじくも警視庁捜査一課の刑事が、最初に見抜いたように、丁寧に絶対にバレないように、巧妙に精密に作られた、インチキ動画だったのである。
この私のインチキ動画を、DVD-Rに焼き付けて警視庁に送っても、絶対にバレないであろうとの確信が私にはあったのだ。で、皆さん、ご存じかどうかは分からないが、「偽計業務妨害罪」の時効は、犯罪行為が終わった日から数えて3年なのだ(刑事訴訟法第55条第1項ただし書、第250条第2項第6号)。
つまり、3年経ってから、「カクヨム」等で、この種あかしをするつもりだった。
無論、初犯でも、懲役3年以下、又は、50万円以下の罰金刑も知ってはいたが、時効さえ成立すれば、私は起訴すら出来ないのだ。そこで、老い先短い私には、一か八か、時効成立に賭けてみる事にしたのである。
ここで、私が、この動画をどうやって作れたかの種あかしだけは、しておこう。
私の一番下の弟(三男)の子供が、関西総合芸術大学映画学科に在学中で、コロナ渦前に、アメリカに1年間留学し、そこで、スプラッター映画の技術を学んで来ていたのだ。
この甥っ子に、この話を持ち込んだのは、この私であって、普通なら尻込みする筈の猟奇的場面を撮る事に、甥っ子も飛びついたのだ。いかに、自分の作った画面が、世間に通用するかも?試して見たかったと言うのだ。で、演劇学科の自分の彼女を、母親役にして、あの猟奇的場面を撮ったと言う。
つまり、全てがスプラッター映画の模倣であり、幼児など絶対に殺してもいないのだ。ホッケー・マスクを持ち上げて、喰っていたのは、実は本物の高い牛肉だったのだ。
ここで、少し法律論(刑法論)にもなるが、私と甥っ子とが共謀してこの動画を上げ、警視庁サイバー犯罪対策課に、DVD-Rを送ったのなら、二人とも、「偽計業務妨害罪」の共謀共同正犯の実行犯に引っかかる危険性がある。
そこで、甥っ子らは、自分らの映画学科で、試しに作って動画をUPしただけだ。
この私は、その事実を全く知らずに、たまたま、見たテレビのユーチューブ番組で知っただけだとし、私自信は犯罪行為が疑われる事を、刑事訴訟法の刑事告発に準じて、警視庁に通報しただけだと頑張れば、つまり各々、単独の行為だと主張するように、既に十分に吹き込んであったのだ。
これだけの、十分な用意はしてあるのだ。まず、甥っ子もこの私も、「偽計業務妨害罪」で立件はできはしまい。
では、何故、甥っ子は、私のペンネーム「立花 優」を知っていたのか?と言う次なる疑問が出て来るであろう?
それは、甥っ子の父親、つまり私の一番下の弟が、同人誌『関西推理』で使っていた私のペンネームを知っており教えていたのだけなのだ。叔父である私のポイント数を増やしてやろうと、あの猟奇的な動画を作ったと、言う筋書きだった事にするのだ。
これが、ホントの筋書きだったのだ。
だからこそ、私は、「そんな、馬鹿な!」と、吐いたのだ。
しかし、実際に、幼児を、多分煮込んだ後であろう、人骨が現実に発見されて、話は急激に変わってきた。これは、冗談では無い。嘘の話が、ホントになってしまったのだ。これは、一体、どう言う事だ。
一体、この話は、ホントなのか?
しかし、この問題には、少なくとも三つの謎がある。
①この犯人は、私の愚作『狂気のユーチューバーⅠ:一年後、僕は、愛犬を食べます』を、見て、本当に、それに影響されたのか?
②しかも、ほとんど、閲覧もされていない私の愚作『狂気のユーチューバーⅠ:一年後、僕は、愛犬を食べます』を見て、本気で、そう言う馬鹿な行動を取る人間がいたのか、どうか?
③仮に、それが事実だと、しても、一体、何処の誰が、この「狂気のユーチューバー」事件の真犯人なのかである。
④それとも、極全く単純な幼児殺害事件であって、上記①~③は、単なる私の思い込みなのか?
どうも、④が、最も、真実に近いように、思うのだが……。
大阪府警は、被害者が1歳~2歳である事から、まず、各児童相談所に問い合わせて、児童虐待が疑われる家庭を個別に調査。……しかし、如何なる家庭もヒットしなかった。
もし、児童虐待の疑いがある家庭で、幼児が一人、忽然と消えていたとすれば、それが一番怪しいのだ。後はDNA鑑定すれば良いのだから。当初、大阪府警は、そう感じていたらしいが、一件も該当しないらしい。
だが、直ぐに、私の甥っ子から、連絡の電話が、私のスマホにあった。しかし、この私も、聞いて驚くような話だったのだ。
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