第4話 同人誌
しかし、ここで、「カクヨム」に、「ピックアップ」と言う欄がある。
これは、雨後の竹の子のように、投稿される小説を、どう言う基準か分からぬが、ピックアップして、読者に、紹介するコーナーなのだ。
ここに、紹介されたからと言っても、別に、急激に、小説の閲覧者が増える訳でもないが、当該投稿小説にアクセスせずとも、「誰」が「どのような小説」を書いているかのかは、当然分かるのだし、また、最初の「小説検索」では、初めて投稿した小説は、投稿順に最初に掲載される事になっている。
つまり、この私が言いたいのは、必ずしも、この私の駄作『狂気のユーチューバーⅠ:一年後、僕は、愛犬を食べます』にアクセスしていなくても、小説の概要自体は、誰でも、知る事が出来ると言う事なのだ。
逆に言えば、約300PVの読者のみならず、「カクヨム」に興味がある人物であれば、何処の誰でも、私の愚作の、題名ぐらいは知る事ができる事になる。
むしろ、私の駄作の小説を、よく読めば、誰にも、愛犬を食べていない事は、明白であり、約300PVのアドレスを調査してみても、ほぼ、意味が無い事になる。
これでは、殺人事件の有無を含め、警視庁サイバー犯罪対策課でも、どうにも手が出ないのだ。
この事は、事実上、この「狂気のユーチューバー事件」は、このまま、迷宮入りする事になってしまう。
結局、下手な、小説を書いて、「カクヨム」にUPした、この私のみが、不利を被って、終わりを迎えるのは、どうにも、腹の虫が治まらないのだ。
ここは、腹を決めて、この私自身が、どこまでも、この動画をUPした人間を、調べるしか無いのであろうか。
しかし、北陸のど田舎にいるこの私が、大阪のネット・カフェまで行って、調査など、できるものであろうか?
金銭的にも時間的にも、高齢の母親の毎日の介護をしている、私には不可能だ。
そもそも、警視庁ですら、手が出ないのだ。
しかし、ふと、ある事を思い出した。既に、20年以上も前に脱会した同人誌をだ。
その同人誌は、かって、推理小説愛好家の旧帝大の学生や雑誌の編集者や、小説家志望者で立ち上げた同人誌で、年4回発行の、季刊誌だったと覚えている。『関西推理』と言う名の、同人誌だった筈だ。
そう言えば、かって、ほんの2年間、その同人誌に属していた事があった。私のペンネームは、この同人誌時代のものであった。もっと言えば、この「立花 優」と言うカッコ良いペンネームの由来は、少年時代に読んだ、漫画家の楳図かずお先生の『おろち』と言う漫画の、確か第3章の「秀才」と言う作品に出て来る主人公の名前だったのだ。
ともかく、この推理小説の同人誌には、その道の愛好家が結構集まってきており、レベルは大変に高かった事を覚えている。生半可な、犯罪トリックでは、いくら同人であっても、絶対に、載せても貰え無いのだ。
一度だけ、同人誌の総会があって、大阪の心斎橋のホテルだったかに顔を出した事がある。
しかし、いかにも、変人、変態、のような人物ばかりの集まりであって、私は、当初は、一泊の予定だったが、ギリギリの列車で、北陸の地元に帰って来たのを、覚えている。
この同人誌での、私のペンネームは、「カクヨム」と同じ、「立花 優」だったのだ。もしかしたら、この時の同人誌の同人の誰かが、偶然に「カクヨム」を見て、このキチガイじみた動画の投稿を、考えたのだろうか?
だが、同人誌を辞めて既に20年以上も経っている。で、その同人誌には、たった1回のみ、載せて貰っただけだ。今現在、「カクヨム」でUPしている『「蝋人形の館」の真実』の、元になった作品だけだった。
勿論、この同人誌内での書評も無茶苦茶で、「訳の分からない小説を送って来るな」と、散々な論調であった。
しかし、今でも、あの異様な、同人誌の総会の雰囲気を覚えている程だから、私の感では、その頃の同人誌の誰かが、この、異常な動画に関与していると考えていたのだ。と言って、別に、それほど、大きな恨みを買うような事も無く、円満に退会しただけなのだが。
だから、同人の誰からも、恨みなど、買ってない筈なのだが……。
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