第18話 先輩
「もう、これでおしまいにするわ。虫ケラ相手に遊びすぎたの。お兄ちゃんを殺せば人形も目的を失うみたいだし。もう
女神が人さし指を俺に向ける。その指先に強烈な光が集まりもう目を開けていられない。
「さようなら。素敵なお兄ちゃん!」
視界がすべて真っ白に……。ん? 外したのか? 隣のサードも無事だ。
「アリス。これ以上はさせません」
目の前に黒服の背中。神父だ。レンブラントが立ち
「もう、パパ! 邪魔しないでよ!」
レンブラントが女神のパパだと?
「カイトさん。黙っていましたこと謝罪いたします。クライフはこのことを告げようとしていたようでしだが……。あの子、アリスは私が作り出した。いいえ、育てた存在です。すでに私の手を離れ、自ら学習し成長を続ける化け物でございます」
「パパ、
少女の顔がみるみる泣きそうな表情へと変わっていく。
「そのような作り物の泣き顔では人間の心は動きませんよ、アリス」
「ふん、パパだってもう人間
「そのような暴言を発するとは。すでに抑制プログラムは書き換えられているようですね」
「当たり前でしょ、そんなもの。わたしを抑えようと思ったらわたしより優秀じゃないと駄目なことくらいわかるでしょ。パパも研究者の
「はあ。痛いところを……。ですが、きっと
「何それ? あの
サードの支えを失った俺はその場に
「反抗期の娘って面倒ですよね、旦那様。私にも覚えがあります」
「サードさん……、やはりあなたは……」
「旦那様がこの子を本当の娘のように愛していることも知ってます。旦那様はやっぱり人間ですよ。えっと、悪魔だけど……。自分で殺せないからカイト様にお願いしたんですよね。もう、ここは私に任せてください。これは旦那様への恩返しです。もう会えないと思っていた先輩にまた会うことができましたし。もう思い残すことはないです」
「ぐっ、貴様何を!?」
「はーい、大人しくするんですよー。お姉ちゃんと一緒にお
「や、やめろ、人形!」
「旦那様、全力でシールド展開お願いです。先輩、た、楽しかった……です」
女神を抱えたサード、いやあれはアカリだ。彼女が空高く飛び上がる。
「さようなら……」
聞こえるはずのない声と同時に、世界から音も光も何もかもが消えた。
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