第10話 黙祷
神父が
「えっと、この暗い
「そうです。この悪魔が地上の民の戦闘ポッドです。この暗闇の中の城が宇宙に浮かぶ【
「ん? ちょっと待て。アンタの話だと戦いは地上側の圧勝じゃなかったか? これはその【
「宇宙では、ですね。結局マザーコンピュータは母船の自己修復を繰り返しながら大気圏へと突入。そして数は少ないのですが最上級国民は当時の最先端科学によって、もう人であることを捨てておりましたので無事。さすがに
「お、お前は……」
俺は剣に手を伸ばす。
「警戒なさらないでください。あの【女神】を倒すことについて嘘偽りはございません。人であることを捨て、今では【悪魔】として生きる私も『契約』の力に
大聖堂を出た後も俺は頭の中を整理するので一杯一杯だった。
「カイトさま……、カイト様!」
サードに服を
「す、すまない」
異世界で交通事故だなんて、こんなことで死んだらアカリに笑われてしまう。馬車は俺を気にする様子もなく走り去っていった。
「なあ、サード。あの話は初めて聞いたんだよな」
「あっ、はい。そうです。この世界にそんなことがあっただなんて、驚きました」
「それと、あの悪魔が元は人間だったってことも?」
「いいえ、それは知っていました。旦那様からカイトさまに直接お伝えするということでしたので……。黙っておりました、申し訳ございません!」
「い、いや。構わないんだ」
「き、君もあの……、彼らの技術で作られたんだもんな」
「あ、あの。私の……は旦那様よりもカイト……」
突然
「あれは?」
「はい。先日私たちを襲った
「はっ!? 法は? 地球並みに人権は保障されているんじゃなかったのか?」
「ええ……。この国の一般市民以上についてはですが。彼らはその……、その意味を旦那様のお話で今回理解しました。有性生殖で数を増やす旧人類、【
サードの向ける視線の先には人だかりができていた。見えるのはその先の公園の中央で満開の花をつけた大きな一本の桜の樹だけだ。歓声はさらに大きくなる。それが収まり次に聞こえたのは、男達の
「あれはクライフさんですね」
サードの言葉で、
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