夜深、更け
夜がしんと更けていく。いつの間にか慣れきってしまったその感覚を感じながら私は目を開けた。
夜はなんとなくさみしい。寂しいし淋しい。
一人で過ごす夜はなんて悲しいのだろうかなんて思って、またそれで悲しい。哀しい。一人暮らしも三年目だというのにサミシイ。恋人も居なくなって、久しく体温を感じていないわ。親の体温もぜんぜん、感じていないわ。
夜って冷たいの。とても冷たいの。
私、夜の温度がどんなものなのか最近良くわかってきたのよ。夜は子供には温かいのに、大人になってしまったら、夜寝れなくなってしまった悪い大人にはとても冷たい。夜の侵食。心までも冷たくなってしまう。嗚呼、なんてことなんてこと。
孤独が深くなって、一人でいることが強調されて、夜が更けるごとに私は一人ぼっちを感じる。そんな脚色された感情も感傷も持ってたっていいじゃない。どうせ、誰もわからないのだから。ねえ、そうでしょう? 私の感情は私のもの。この寂しさも悲しさも冷たさも、私のもの。唯一無二なのよ。
ねえ、誰か絵本を読んで。
突飛な物語が良いわ。
ファンタジーな物語が良いわ。
サヨナラの物語でも良いわ。
ねえ、誰か、それで私を温めて。
誰かの胸の中で泣きたいの。子供みたいに。
女の涙は武器になるのでしょうから、思いっきり泣いてみたいの。もう、泣けなくなってしまったけれど。ええ、きっとそれが良いわ。もうつかれたのよ、この日常が。
ねえそこのあなた、そこのあなた。私に笑いかけてくれませんか。私を温めてくれませんか。いつかの月を見に行きましょうよ。ねえ、あのきれいなお月様を。涙で隠れてしまうかもしれませんけど、見に行きましょう。
そしてあなたは笑って、このぼうっと流れていく日常を、涙を止めてくださいな? あなたにしか頼めないのです。ねえ。
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