第16話 第3部隊
凸凹姉妹と別れて、カフラーの街へと向かう街道をのんびりと歩くライオット…勇者であったときも歩いた道なのだが、あの時は魔王のオーラを追い求める事に傾注していたので、景色を楽しむ余裕なんてなかった。
今は、魔王の加齢臭オーラに次のダンジョンへ向かうよう言われてはいるが、特に急ぐ必要もないと思っているライオットは、広大な草原や遥か遠くに見える丘陵地帯の景色を眺めつつ歩みを進めてる。
「美しいんだけど、やっぱり気になっちゃうんだよね」
「何がさ?」
妖精のミューオンが、仰向けに寝そべりつつふわふわ浮くという緩みきった態勢で聞いた。
「所々で、焼け焦げた跡を見かけるんだよね」
「ああ、疫病を封じ込める目的のやつね」
「うん…でも、疫病に罹っていない村まで焼却処分したっていうのが引っ掛かっててさ」
「ホントだったら外道中の外道ね」
「ニッキーさんの言ってた話で、勇者だった時の随行部隊にそいつらがいたって事なんだけど、全然憶えてないんだよね」
「しょうがないんじゃない、勇者の目的は魔王を倒すことで、お仲間の事を理解する必要なんてないんだからさ」
「それはそうなんだけどね」
今さら、気にしても仕方ないのはライオットも分かってはいるのだが、何か出来なかったのかというやり切れなさは
「もし魔封隊だっけ…今でもそんな極悪非道な事をやっていたら、ぶっ潰しちゃえばいいんだよ!」
「そうだよね、いくら他の人が嫌がる仕事をしたとしても、道を外れたらダメだよね」
そんなとこにこだわっていたのか、めんどくせ~と呆れつつミューオンは、仰向けからうつ伏せへと浮遊態勢を変えることにした。
「それに何もしてない訳じゃないでしょ!半分以上の村で浄化スキルを使って、ゾンビになった村人を昇華してあげてるじゃない」
確かにライオットは焼け焦げた村跡を見つけると、ロキとニッキーと一緒に依頼をこなした時と同じ様に夜まで待ち、ゾンビが出てきたら聖水ではなく、浄化スキルを使っていたのである。
「そんなの当たり前だし、聖水じゃなくて浄化スキルを使うのは自分の熟練度のためでもあるから」
「そうだとしても、何もしてない訳じゃないよね」
「…うん、でもさ半分以上だよ!ゾンビ化した村人が出て来たの。その人達は疫病じゃなかったって事だよね、いくらなんでも酷すぎない?」
珍しくライオットが、怒りの感情を表に出す。
「途中から目的がすり変わったかもね。略奪や暴行の跡を消すんじゃなくて、ゾンビ化させる事自体が目的にね」
「それってどういうこと?」
「さあね~、現状じゃ全部憶測に過ぎないからね、サクサク動いて情報集めるしかないのさ」
「なるほど…よし、わかった!もっと人助けだね」
「そだね、もうそれでいいよ!」
迷いを振り切って、ライオットは街道をひた歩く。
「走るんじゃないんか~い!」
と、ミューオンのツッコミが夕暮れに染まる草原に響き渡る。
辺りも暗くなったので、街道を少し外れた場所で野営の準備をする。
宿場町から宿場町までの距離が離れている場所では、街道沿いに草が刈り取られて整地された野営地が点在する。
別に誰が管理している訳ではなく、旅人によって自然に作り出されたサークルであった。
収納空間からビッグボアの肉を取り出すと、焚き火の火で軽く炙ってミューオンと一緒に食べる。
食後のお茶を飲んでいると、常時薄く発動させている探索スキルに反応があった。
街道の少し先の森に10人程の人間族の集団が入ってきた気配があり、ライオットの方を警戒している者もいるが、集団の関心は別の地点にあるようだ。
探索スキルの範囲を更に拡げてみると、その先には小規模な村の存在を確認する事が出来た。
すると、森の中から生物とは違った反応の光点が、村に向かって行くのを探知した。
小さな光点に標準を合わせて鑑定して見ると、【バットアイ】探索用の魔道具と表示される。
一見するとコウモリの様に見えるが、顔の部分が大きな目玉になっており、捉えた映像を術者の元に送り届ける機能があるとの事だった。
「盗賊にしては、随分と値の張る魔道具を使っているね」
「例の魔封隊なんじゃないの?」
「限りなく怪しいげどね~、もう少し近くで様子を見てみるよ。ここを動くと警戒されるかな?」
「擬装スキルで、誤魔化しとけばいいさ」
ミューオンのアドバイスをもらって野営地に居るように擬装すると、隠密と身体強化のスキルを発動させて村の方角へと移動を開始する。
村では夕食中なのか家々の窓から明かりがもれ、時々子供の声や楽しそうな笑い声が聞こえてくる。
その村の上を円を描くように、魔道具であるバットアイが翼をはためかせて飛んでいる。
しばらく旋回すると、バットアイはもと来た方向へと飛び去って行った。
「さてと、この後どう出て来るかだね」
「何事もないのが一番さ…でも間違いなく来るね」
「人助けになればいいんだけど、出て行くタイミングを間違えると台無しだよ」
「人助けも結構気を使うよね」
自分の主である女神にも気を使わないミューオンが、気苦労を知っているかの様に
森の中から揃いの外套を羽織った男達が、村へ向かって周囲を警戒しながら近付いて行く。
各々が手に持った鉄の剣が月の光を反射して、鈍く光る。
先頭の杖を持った男が詠唱を唱えると、村を囲んでいる木製の柵の一部が炎の魂によって破壊された。
男達は素早く村の中へ駆け込むと、
「村の者に告げる!すぐに村の中心に集まれ。刃向かう者や逃げようとした者は、その場で切り捨てるから覚悟して行動しろ」
大きな声を村中に響き渡らせた。
しばらくすると、家々から村人が出て集まってくる、その数およそ30人程。
「聞き分けがよくて結構。村長はいるか?」
村人の中から、背の高い筋肉質の男性が一歩前に踏み出す。
「俺がこの村の村長だ。昔は冒険者をやっていた事がある。略奪者共に簡単に屈するつもりは、これっぽっちもないぞ」
「ほう、勇ましいな。お前は良いゾンビになりそうだ」
『これはギルティ確定だね』
村の外から様子を見ていたライオットがミューオンに言う。
『ふむん…やっぱり、ゾンビにする事自体も目的に含まれてるのか。ライオット!こいつらには事情を聞く必要がありそうだから、捕獲でやっちゃいなさい』
ミューオンが、どこぞのご老公の様な指示を出す。
『生け捕りだね!まかせて』
「ゾンビだと?やはり噂は本当だったのか。お前ら、ただの盗賊じゃないな」
「おや、いつの間にか俺らも有名になっていた様だな」
「おかしら、そりゃあれだけ疫病でもない村々を潰しまくれば噂にもなるでしょうが」
「おかしらではない。隊長と呼べといつも言ってるだろうが!」
「貴様らか!疫病対策を建て前に、方々の村で残虐行為をしている魔封隊というのは」
元冒険者と言うだけあって帯剣していた村長が、隊長と呼べと言った男へ斬りかかる。
だが隊長らしき杖を持った男が短く詠唱すると、斬りかかろうとした村長の動きが止まり、地面に倒れ込むと痙攣を始めた。
村人達が村長を助けようとすると、
「刃向かった奴は、その場で切り捨てると言っといただろう。まあ、最終的には全員殺すんだから、刃向かっても刃向かわなくても同じなんだけどな」
杖を村人に向けて男が
「さすがはおかしら、相変わらずえげつない事で」
「おかしらじゃねえって言ってるだろが!」
そろそろいいかなと、ライオットは隠密スキルを解除すると村の中に足を踏み入れる。
「あん?おめえは誰だ」
「通りすがりの旅人です」
ライオットは一度言ってみたかったセリフを口にすると、村長の近くまで行き麻痺状態を解除した。
「おお、身体の痺れが取れた。あなたが解除してくれたんですか…ありがとうございます」
「いえ、気にしないで下さい。ところでこの連中を捕まえるんだったら、手伝いたいのですが許可していただけますか?」
「そ、それはもちろん良いのですが、コイツらは魔封隊といって普通の盗賊ではないのです」
「ええ、承知しています」
「かなり手強いです。とても1人では無理ですよ」
「問題ありません」
ライオットが村長の杞憂に応えていると、
「ずいぶんと舐めた口きくじゃねぇか!おやか…隊長やっちゃって下せえ」
「自分でやるんじゃねぇのかよ!お前、俺の部下だよな?確か」
「へい、一の子分っす」
「子分って違うだろうが…まあいい、兄ちゃん死にたいらしいな?ならば死ね」
男は杖を構えると詠唱を唱える。
だが耐性スキルを発動したライオットには、麻痺など効きはしない。
「村長さんを苦しめたのは麻痺だったよね…じゃあおんなじので返すよ」
ライオットが言うと、10人の男達は一瞬で白目を剥くとその場に崩れ落ちた。
「あれ?加減、間違えたかも」
元冒険者の村長が男達の脈をとると、
「大丈夫です。気を失っているだけです」
村の者達に、縄を持ってくる様に指示しつつ言う。
「良かった~、コイツらには聞きたいことがあったんですよ。殺しちゃったら怒られるところだった」
そう言うライオットの背後には、般若の様な顔をしたミューオンが仁王立ちで見下ろしていた。
気絶している魔封隊の男達を村人が縄で縛っているのを見て、ライオットは付与スキルで魔法無効化を縄に施す。
村長にお願いして空き家を借り、隊長と言っていた男を運び入れた。
「さてと、それじゃあ色々と教えてもらおうかな」
ライオットは自白スキルを発動させると、
「あなた達は魔封隊でいいのかな?」
訊問を開始する。
「そうだ」
偉そうにしていた隊長が素直に答える。
「他にもまだいるのかな?」
「魔封隊は、第1~第3部隊までの30名で構成されている」
「ふうん、あなた達はどれなの?」
「第3部隊」
「役割は?」
「村々を襲って略奪凌辱の後、怨みが強くなるように殺害して埋めるのが任務だ」
「なぜ怨みを強くする必要が?」
「怨嗟の濃い地域には、より強いアンデッドが生まれる土壌が出来上がるからだ」
「なるほどね…魔封隊の最終目標は何?」
「………言えない」
自白スキルによって、ペラペラとしゃべっていた隊長が突然、抵抗を試みた。
「無駄だよ」
ライオットがスキルのパワーを上げる。
「魔封隊を抹殺しようとした王国への復讐。俺達、第3部隊の目標はゾンビ発生による街道流通の阻害だ。ベルゲン様は更に強大な一手を準備されている」
「その一手とは何?」
「それは聞かされていない」
「ベルゲンはどこにいる?」
「魔王国の周辺としか知らない」
「…ベルゲンは他の部隊と一緒なのかな?」
「勇者随行部隊から逃げた時は皆一緒だったが、俺達第3部隊だけが別行動になった。多分…他の部隊はベルゲン様と一緒だと思う」
聞ける情報は聞き出したと思い、自白スキルを停止すると隊長はガクッと頭を下げた。
ライオットは空き家から出ると、
「村長さんありがとう。僕の用事は終わったから、彼らの処遇は任せてもいいかな?」
空き家の前で待っていてくれた村長に声を掛けた。
「その事で相談がある。捕えた罪人は歩いて3日程の王都まで連れて行く決まりなんだ。助けてもらってこんなお願いをするのは失礼だと思うんだが、王都までの護衛を引き受けては貰えないだろうか?」
ライオットはしばらく考えて、
「僕の方からもお願いがあるので、聞いてもらえるのならその依頼を引き受けましょう」
と、答える。
「お願いとは何かな?」
「魔封隊の捕縛について王都に説明する時に、僕の事は伏せてもらいたいんです」
「罪人捕縛の報酬はどうするんだ?」
「あ、それはいらないです。村に全部あげます」
「とてもありがたいが…本当にいいのか?」
「僕は村を救えただけで充分なんです」
「わかった、そういうことならそうしよう。だが、魔封隊の連中の口から冒険者さんの事が漏れるんじゃないか?」
「それなら大丈夫。彼らの記憶から僕の事は排除して、油断していたところを村の人達に強襲された様に書き換えとくから」
「なるほど、よくわからんが…じゃあ、そう言うことで護衛の件よろしくお願いする」
村長は狐につままれた様な表情で、ライオットに頭を下げた。
「うん、了解しました。護衛任務は王都の手前まででいいよね?」
「もちろん、王都の警備隊が気付く前に離れてもらって構わない」
「よし、じゃあ契約成立だね。いつ出発するの?」
「日が出たら出発したい。それまで我が家で休んでくれ」
「わかった、じゃあ朝までコイツらが起きない様にして…ついでに記憶も変えとこう」
村長は、ライオットの独り言を聞こえなかったふりをして自分の家に案内する。
夕食もすでに済んでいたので、通された部屋のベッドでゆっくり睡眠をとることにした。
朝となり、朝食を用意してくれた村長の奥さんにお礼を言いつつ、食べ終えるとライオットは村の入り口に向かう。
そこには、2頭立ての荷馬車の後ろに両手と腰を縄で縛られた魔封隊の面々が、5名ずつ2列に並べられていた。
御者が1名、村長と村の腕自慢だろう若者が3名、計5名の村人が魔封隊の王都への護送に就くようだ。
それぞれが簡素な革鎧を身につけ、剣や槍、弓矢などの武器を携えている。
30人程の村でも徴兵されれば、戦場に赴く事もあるが本来が農民なので、手斧や鍬が武器として精一杯の場合もある。
村長が元冒険者ということもあり、この村では武器と防具をきちんと常備しているのであろう。
「では、出発するとするか」
村長が馬車の御者に合図を送ると、村人達の見送りを後にしてライオット達は王都に向けて歩き出した。
村から王都への道は、街道とは少し違った趣だったので村長に聞くと、
「この道は開拓村の連中が使うためのものでな、収穫した作物を王都に運ぶために荷馬車が通りやすい様に整備してあるんだ」
村ごとに整備が任されているのであろう、少し自慢気に村長が答えた。
「なるほど…それで、畑のど真ん中を貫いている訳なんだね」
「村から村の距離も耕作の面積だけじゃなくて、王都に向かう際の休憩の取りやすさを考慮して決められているのさ」
「スゴいね、村のネットワークが構築されているんだ」
「ネットワークなんて大したもんじゃねぇよ。休憩ついでに雑談するだけだよ」
たわわに実る麦の穂を眺めつつ、
『その雑談こそが情報ネットワークであり、村の孤立や対立を予防するんだよね』
とライオットは心の中で呟く。
広大にして平坦な耕作地帯を有するストラ王国のきめ細やかな統治手段に驚嘆する。
他の村に着くと必ず休憩を入れ、夕刻の場合はそのまま宿泊させてもらう。
さすがに罪人達は村の中に入れられないので、村の外で野営だ。
ライオットも悪目立ちはしたくないので、村には入らず馬車と魔封隊の連中の見張り役を買って出ていた。
魔封隊であることがわかると村人が怒りを爆発させる恐れがあるので、揃いの外套は脱がせて馬車の荷台に放り込んである。
隊長の事をおかしらと呼んでは、叱咤されていた部下が騒ぐと面倒だなと思っていると、
『使役スキルで黙らせとけばいいよ』
妖精のミューオンが、アドバイスをくれた。
『使役って動物や魔物以外にも使えるの?』
『自分より格下のモノなら大抵使えるよ』
もふもふペットもアリなのかと楽しく夢想していたが、何故か最初にむさい魔封隊の野郎共を使役する羽目になってしまった。
『これじゃあもふもふじゃなくて、むさ苦しいだけだよ』
なんて事を考えていると、村からかなり離れた小さな森に探索スキルの光点が
探索スキルも最初に使った頃に比べると、かなりの広範囲をカバー出来るようになって来ている。
今まで田園風景の中をずっと歩いて来て、魔物の気配はまったく感じられなかった。
探索スキルの光点が灯っても、畑仕事をしている村人の所在を表すものがほとんどであった。
だが日も落ち辺りが真っ暗な中、村の外に出ている村人はいないはずであり、子供が迷子になっている様な事態なら捜索してる光点が表れるはずである。
この光点は1つだけで、表示されてから少しも動く気配がない。
この事から導き出される答えは、こちらを窺っている存在がいるということであり、しかもかなり遠距離から調査できる能力があるようだ。
正体をつかんでおきたいところであるが、此処を離れる訳には当然いかない。
ライオットが焦れていると、ふと麦畑の上を飛んでいる小さな影が目に入った。
白色のフクロウだ。麦畑に作った巣穴から出てきたネズミを狙っているのだろうか、麦穂の高さスレスレを円を描くように行ったり来たりしている。
ライオットはいいことを思い付いたとばかりに、探索スキルの光点とは反対側へと回り、荷台の陰からフクロウに向かって使役スキルを発動させた。
白色のフクロウは一瞬ライオットの方を見ると、すぐに光点がある小さな森に向かって羽ばたいて行く。
その間に、同化スキルと視力スキルを同時発動させて、使役したフクロウの視界を自分のものにした。
フクロウが光点近くの木の枝にとまる。
木の影に潜んでいた黒い影が、フクロウに振り向くと懐に手を入れた。
だが相手がフクロウだとわかると、舌打ちをしてライオット達のいる村の方角に視線を戻す。
フクロウの眼って便利だなと、ライオットは感心していた。
暗闇の中でも対象をハッキリと捉えることが出来る上、左右に270度回転することが出来る。
フクロウの眼を借りようと思ったのは、魔封隊の使っていたバットアイの魔道具に興味を持ったからであった。
コウモリじゃなくて鳥の眼だったら、もっと高高度から俯瞰して対象を捉えられるんじゃないかと考えていて、スキルの組み合わせで可能だと結論付けてはいた。
そこに使役スキルを加えた事で、ライオットオリジナルのバットアイならぬバードアイが完成したのである。
木の影に隠れている男は中肉中背、いかにも農民ぽい布地で前合わせの衣服を身に付けているが、先ほど胸元から見えたのは投げナイフと鎖帷子であった。
そもそも、夜中に木に登って身を隠す農民などまずいない。
『密偵かな?』
『諜報部員かもね。王国にはそういうのもいるらしいよ』
『索敵スキルだと感知しないから、攻撃する意思はないみたいだね』
『とりあえず探索スキルでロックオンしておいて、様子見でいいんじゃない。意味なく敵対する必要はないでしょ』
『わかった、そうするね』
ミューオンと相談して様子見と決めたライオットは、使役したフクロウをなるべく自然に監視者から離す。
ぐるっと畑を大回りした白色のフクロウが、ライオットの手元に飛んで来た。
『ご苦労様、狩りを中断させてごめんね。これはお礼ね』
フクロウに思念で話しかけて、収納空間からビッグボアの生肉を取り出して
白色のフクロウは一瞬びっくりしたように首をくるくる回したが、お礼をするように生肉を咥えたまま首肯すると翼を広げて羽ばたいて行った。
ライオットは使役スキルの醍醐味はこれだよねと思い、馬車の後ろで縄に繋がれた魔封隊の連中を見て、げんなりとした表情を見せる。
その後、王都に着くまで監視者は同じような距離を保って馬車と並走していた。
大きなトラブルもなく耕作地帯を抜けると、王都の巨大な城壁が周囲に比べて一段高い丘の上にそびえ立っているのが見える。
王都の城壁が見えた場所で、ライオットが馬車から離れようとすると村長に呼び止められた。
「本当に助かった…これは少ないが、村からのお礼だ。護衛の依頼料と思って受け取ってくれ」
村長から銀貨10枚を受け取ると、ライオットは手を振ってその場を後にした。
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