第7話そこの論争は不毛の荒野しか残らない。

言い終わると、右肩を抱いていた僕の右手を払いのけ、身を翻しまじまじと僕を見詰めた。

しっかりした眼差しは気の強さを伺わせる。


 2人の歩行が止まったのは加茂川手前の横断歩道が終わりに差し掛かった所だった。

「まえから好きだったって言われて・・・、付き合って下さいって言われて・・・。私を盗られたどうする?」

大層な質問だ。そんなにアイドルなのか?思わず反論が頭を擡げる。


「俺に聞くなよ。今、俺と付き合って居るんだろ?」

 投槍な言葉を吐いた。「ふーん・・・。」

曖昧な返答を受け流す。


そこの論争は不毛の荒野しか残らない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る