第5話 星は 星を想って

僕はただ綺麗な星を見たい いつもの公園 僕にとって特別な公園

きっと誰にでもある特別 夢 理想 希望 

綺麗って何なんだろう 僕自身分からない

だけどもしその思いが綺麗なものならきっと…


だって僕は今 あの人と会って話すことが楽しみなんだから


朝6:00


ピピピピ ピピピピ ピピピガチャ

紗枝「ふあぁぁぁ〜」

母親「朝ごはん食べちゃいなさいよー」

紗枝「はーい」

あまり寝付けなかった訳じゃない、何ならぐっすり快眠できた。

だけどすんなり起きれたのは何故だろう?


いつも通り制服に着替えてスマホを持って階段を降りる

洗面台に向かいスマホを見ながら歯を磨く

(通知は来てない…な)

朝から通知がない事がこんなにも嬉しい事だなんて

   

紗枝「はふはほうはイイホホホイホウ」(なんか今日は良いこと起きそう)

歯磨きをしながらそう呟いた

口を濯いでリビングに パン 野菜 スクランブルエッグ バター 牛乳

(またか) さっきまでいい気分だったのに台無しだ


母親「好き嫌いなくいっぱい食べてね」

紗枝「はい、いただきます」

いつもの方法で牛乳を流し込む 朝食を食べ終わり カバンを持って玄関へ


紗枝「ご馳走様ー、じゃ行ってきます」

母親「行ってらしゃい」


家を出て いつもの道を歩く その道にいつもの公園が

(今日のお話も楽しみだな)

公園の前を通り過ぎ校門前へ いつもの先生が挨拶をしている


先生「みんなおはよー」

紗枝「おはようございます」

いつも会釈をしていただけだったが 今日は気分がいいから挨拶を返した

すると…


先生「おぉ!鈴美蘭か!おはよう!」

と名指しで返してくれた、初めてしてみたが悪い気はしなかった

(元気だなぁ)

そんな事を思い下駄箱へ 上履きに履き替えて教室へ


紗枝「お、おはよー」

朝から気分がいいからって何をしているんだろ いつもはこんなこと言わないのにいきなり挨拶しながら入ったら気持ち悪がら…

生徒1「おはよー」

生徒2「おはー」


何人か返してくれた 気持ち悪くなかったかな?


紗枝「おはよー」

でも何だろう この気持ち 返してくれたことが なぜか少し楽になった

でもいつもとやることは変わらない カバンを置いてすぐ机に顔を伏せた


キーンコーンカーンコーン ガラガラ


先生「お前ら席つけー」

そう言って教卓へ プリントをパタパタしながら


先生「えーっと昨日言った見回りは明日の土日もする事になりました、だからお前ら休みだからって夜遅くまで外出するんじゃないぞー」

そう言いながら前の人にプリントを渡して行った


先生「それと、昨日夜に不審者が出たそうなので必要な時以外は外にあまり出ないようになー」

紗枝「不審者か〜」

プリントには不審者の特徴が書かれていたが眠たくてそのまま寝てしまった


夕方18:00


紗枝「んー、なんかいっぱい寝た気がする」

少し紅く だけど反対側は少し濃い藍色に 

(今日も綺麗な星空が見れそう)

カバンを持ち教室を出る その足取りは少し浮いていた

校門を出ていつものあの公園へ 今だけは家のことは忘れていた


夕方18:07


紗枝「昨日と違って早く来たけどいるかなー」

キョロキョロとしながら公園の中央へ 空を見たら雲ひとつない

そのまま下に視線を移したら 藤谷がいた


紗枝「早いね、もういるなんて」

藤谷「やることがなかったからね」

紗枝「こんばんは、藤谷」

藤谷「こんばんは、紗枝」

紗枝「じゃあ今日も教えて 星と星座のこと」

藤谷「もちろん、今そっち行くね」

ゆっくり降りてきた そして昨日座ったベンチに腰を掛ける


藤谷「でもそんなに星が見えないから紗枝の好きな星座教えてよ」

紗枝「え!?わ、私の好きな星座か〜」

藤谷「ないなら直感でもいいよ」

紗枝「ん〜何だろう、私そんなに知ってる星座ないんだよね」

隣でう〜んと首を傾げている すると何かを思い出したように


紗枝「蟹座!私蟹座が好きかも!」

藤谷「蟹座か〜、蟹座は6月に見えやすいから今日探してみたらあるかもだよ」

紗枝「そうなんだ〜星座って何で季節ごとに見えやすさが変わるのかな」

藤谷「正確に言えば見えにくいじゃなくて見えてないんだけどね、見える星座が変わるのは地球の公転で見える星座が変わるんだよ」

紗枝「そうなんだ、それは光の角度とかの話?」

藤谷「んー光の角度よりも北半球の位置かな、夏の時は太陽の光が強くてオリオン座は見えないけど逆に蠍座は見えたり、冬の時は蠍座は見えないけどオリオン座が見えたり」

紗枝「なんかちょっと難しいね」

藤谷「僕もそう思うよ」

微笑みながら 照れくさそうに そう言った


紗枝「あ!星がいっぱい出てるよ!蟹座どれかな〜」

藤谷「蟹座は意外とわかりやすいよ」

紗枝「どんな形してるの?タラバかな〜ズワイかな〜」

藤谷「そっち系じゃないのは確かだと思うよ」

紗枝「残念…」

本当に凹んでる…


藤谷「ほ、ほらあそこの4つの星を線で引いたら四角形になるでしょ?そこから左に2つ右に1つ少し強く光る星があると思うんあけど」

紗枝は目を細めて頑張って探している どれ〜?あれか!と言いながら


藤谷「四角形からさっきの3つの星に向かって線を引く、それが蟹座だよ」

紗枝「私もみつけれた〜、ふふん」

ドヤ顔をしながら私すごいでしょと言わんばかりに目をキラキラ輝かせてこっちを振り向く


藤谷「そして蟹座の位置は双子座の一等星と獅子座の一等星の中間にあるんだよ」

紗枝「獅子座ってなんか、かっこいいよね 名前が」

藤谷「最初は僕もかっこよくて好きだったけどね」

紗枝「でも今は魚座なんでしょ?何で魚座なの?」

昨日も聞いたことだ でも気になる 教えて欲しい


藤谷「笑わない?」

紗枝「笑わないよ」

藤谷「…大好きなお母さんの星座だから」

紗枝「か、可愛い」

藤谷「うぅ、可愛いって僕男だもん」

紗枝「そうだけど、何だろう子供の可愛さって言うのかな。

それお母さんに伝えたらきっと喜ぶよ」

藤谷「もう伝えれないよ…」

紗枝「え?」

藤谷「紗枝が良かったらで良いんだけどさ、僕の話聞いてくれないかな…。

僕が星が見たい理由も聞いて欲しい」


少し間が空いた 人の過去は簡単に聞いてはいけない それは責任を伴うから

人の過去を聞く それは 一緒に過去を背負うと言う意味だ

私にはそれを背負うことができるのか? 昨日会ったばかりのこの子と


紗枝「…良いよ、ただし!」

藤谷「ん?」

紗枝「私の話も聞いて欲しい」

藤谷「もちろん、僕は無責任じゃないからね」


何故こんなこと言ったんだろう 私は馬鹿だ だけど知った事じゃない

私は肯定したい 自分自身を


だから藤谷に聞いてもらって 肯定してほしい 私に対しての


         特別な言葉で







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