第2話 星を見る 星が見つかる

私は ただ 一人になりたくない

そう思うことは誰にだってあるんだろう

醜い関係 自己嫌悪 それでも自分が一番なんだって

必要な時には笑顔を 必要ないなら沈黙を それが人だ

周りは身勝手だ でもそんなことを考えてる私が一番の


加害者だった





静かな部屋、暗くて怖い それでも僕は暗いとこに居る

汚い言葉 背中に痛みが走る

「邪魔なんだよ!早く外にやがれ!」僕をつかみ外に掘り出した


痛い、痛い、なんでこんな事するんだろう。

ここに僕の居場所は無い ここは暗い場所

辺り手探り棒を見つける


背中が痛くてまともに立てない、棒を地面に突き歩き

ある家に着く。


「あ、あの…」 声が届いていないようだ

「あ、あの!」 家の中からドタドタと足音が聞こえる

ガラガラッ 中から老人が出てきた 60〜70ぐらいだろうか、僕の祖父だ

祖父「藤谷ちゃん一人でここまで来たんか!はよ中入りなさい」

藤谷「ありがと、おじいちゃん」

祖父「そんなことええからはよ入り、バァさん!救急箱と風呂沸かしてくれ!」

祖母「どうしたんよいきなり大声でぇ…藤谷ちゃん!どうしたのその傷!」

祖父「やからはよう持ってこい!」

祖母「わ、わかりました!」


ドタドタと焦ってるようだ、なんでそんなに焦ってるんだろう

ついていた棒を玄関に置き中に入る、おじいちゃんに抱っこされ手当てをしてもらった、しみるし痛い…。


藤谷「痛いよおじいちゃん」

祖父「そりゃそうじゃ、傷があるんじゃからな」

藤谷「そんなに酷いの?」

祖父「酷いってもんじゃない、これをしたのはあいつか?」


あいつ、おじいちゃんは僕のお父さんをあいつと言う、自分の息子なのにあいつって。


藤谷「なんでアイツって言うの?おじいちゃんの息子なのに」

祖父「クズなことするようなアホの名前なんぞ呼びたくないわい」

藤谷「僕は大丈夫だよ、だってこんなに歩けるんだもん」

祖父「藤谷ちゃんは強い子だねぇ」


と言いおじいちゃんは僕の頬を撫でる その指は少し濡れていた

なんでって言おうとした時後ろから暖かさを感じた


祖母「さぁ、お風呂できたから入っておいで。傷が染みるなら無理しなくて良いからね」


そう言われお風呂に入る、傷はそんなにシミなかった さっきはあんなに痛かったのに。

藤谷「すごいなおじいちゃんとおばあちゃんは、痛みがマシになった」


ゆっくり浸かった 暖かくて 優しい それでもどこか

悲しかった


お風呂から上がり体を拭き髪の毛を乾かす、服を探したが何処にもなかった。

藤谷「おばぁちゃーん僕の服どこー?」

祖母「泥だらけだったから洗ってるよ、ちょっと待ってなさいな」

と言われたもののタオル一枚だ、少し冷える

少し待っていたらおばあちゃんが服を持ってきてくれた 甚平だ


祖母「少し大きいかもだけどあったかくなってきたからすこし涼しい服が良いかなって持ってきたけど似合うわねぇ藤谷ちゃん」

藤谷「ありがとうおばあちゃん」


確かに少しブカブカだけど着心地はいい、それになんかかっこいい気がする

おばあちゃんの後をついていきリビングに行く おいしそうな匂いだ

おばあちゃんに背中を押され席に座らされた


祖母「ほら!いっぱい食べてね、じゃないと大きくなれないわよ」

食べ物をこっちに向けてきた(…?)何でこっちに向けてくるんだろう?


祖母「はい、あーん」

藤谷「え?」

祖父「食ってやれ、バァさん甘やかすって聞きやしねぇ」


少し照れ臭くも食べた、僕もう13歳なのに…

でも嫌な気はしなかった


祖父「そういえば籐谷ちゃん、星は見つかったか?」

藤谷「まだ見つかってない、星って何処にあるの?」

祖父「星は暗いところでよく光るもんだ」

藤谷「本当?暗いとこにいても見つからないよ」

祖父「いるだけじゃダメじゃ、探さんといかん」

藤谷「ふーん、あ!星座は見て見たいかも」

祖父「どんな星座が見たいんじゃ?」

藤谷「えー獅子座とか僕の星座の蟹座もだしあとは、魚座も見てみたい」

祖父「そうかえ、いつか見つかるとええのう」


そう言いながらお茶を啜った

いつか見つかる? 夜空をどれだけ見上げても見つからなかったのに

いつまで見上げればいいんだろう でも見てみたい星がどんなものか


藤谷「お腹いっぱい、ご飯美味しかったよおばあちゃん」

ご馳走様と言い隣の部屋に行く 

藤谷「僕寝るね、おやすみおじいちゃん おばあちゃん」


気付けないことは悪だろうか 知らないことは悪だろうか

僕は気付けないし 知らない事が多い 

もしそれらが明確な悪と言うなら 僕はきっと世界で一番の


善人に見えるだけの極悪人だ


初めて痛みを感じたのは小学生の時 クラスの子が揶揄ってきた時だ、よく分からなかったけどなぜか胸が痛くなった

そこから揶揄いはエスカレートしていってイジメに変わった


先生に伝えても「君がそう思っても相手はその気じゃないかもだろ?それにその子も冗談って言ってるんだから気にするな」とため息をつきながらそう言った


僕が相手の事を知らないから? 僕が冗談に気付けないから?

やめてって言っても冗談を本気にするなって。

ならこの傷は 誰が付けたんだ


放課後になり家に帰る ……帰りたくない

どうせ帰ってもお父さん達は僕を追い出す、なら帰らなくても困らないはずだ

(そうだ、あそこの公園にいこう)

いつも人通りが少ない公園がある、そこの公園のドーム状の遊具がある

そこの上に座るのが好きだ。そこが僕の特等席


いつもそこに座っては上を見上げる、星を見つけたいから。


…ゃん …やちゃん

(誰か呼んでる?)

祖母「藤谷ちゃん、もうそろそろで夜ご飯だから起きなさいね」

藤谷「今なんじなの?」

祖母「今19:00ぐらいよ」

夜になっていたのか

藤谷「ちょっと外にいってくるね」

祖母「…気をつけるんだよ」

藤谷「ん、分かってるよ」

靴を履き棒を持っていつもの公園へ


公園に着く真ん中の方にいき棒を遊具に立てかけ上に登る

空を見上げてもやっぱり星は見えない 


少しの間上を見ていると後ろの方から足音が聞こえる

(誰だろう?)と思っていたら

「うわぁ〜」と聞こえた


いつもは静寂が好きだ だけど なぜかその人の声は心地良かった



















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