第24話

服を買い終わり二人で帰路を歩いていたがかなり気まずい。先ほどの会話以降まったく話していないためしばらく無言の時間が続いていた。俺はそれに耐えかね何か話題がないかと考え、ふと昨日神崎さんと話していたことを思い出し、長谷部さんに聞いてみることにした。


「そういえばさ、どうして俺たちとグループ組んでくれたんですか?だってさ今までの長谷部さんなら男子とはあまり組もうとはしなかったからさ少し気になって」


俺は別に悪いことをしたわけでも変なことを聞いたわけでもないがものすごい早口で口を動かす。長谷部さんはそれに対して少し考えた素振りをすると「うん」と頷いてこちらを見る。


「それじゃあさ私からも聞きたいんだけど、最近冬雪と仲良いけどもしかして付き合ってたりするの?」


「はぁ?」


俺はどんなこのを聞かれるのかと身構えていたが予想の斜め上すぎる質問につい変な声が出てしまった。


「別に付き合ってもなければそこまで仲良くないと思いますけど」


「えーそうなの?てっきり二人は付き合ってると思ったのに」


「なんでそう思ったんですか?」


「だって最近二人でご飯食べたり、なんか目配せしあったりしてるでしょ?だからみんなに隠れて付き合ってるのかなって思ってたのに。違ったのか〜」


長谷部さんは残念そうに言うと歩きながら地面にあった小石を蹴る。


「それじゃあさっきの質問なんだけどね、単純に冬雪と青葉くんが付き合ってるなら同じグループの方が良いかな〜って思ったから組んだんだよ」


「それはなんていうか、すみません」


「別に何も悪いことしてないんだから謝らなくてもいいのに。それに青葉くんは何だか話しやすいから私としては不満はないよ。他の男の子たちと比べて話しやすいし、なんていうか女友達と話してるような感じ?でも何でそう思うんだろう、変なの」


長谷部さんは自分の言ったことに「ふふふ」と笑うが俺は苦笑いしかできない。そりゃ女友達もなにも最近女装して一緒に遊んでますから。そうこう話しているうちに近くの駅まで着くと長谷部さんとはそこで別れる。最後に「さっきのことは冬雪には言わないでね」と言いながら手を振り去っていく。普段からユナとして長谷部さんと遊んでいるためこの姿で一緒にいられるのはなんだか新鮮だった。もし、女装していることを打ち明けたらこんな時間がもっと続くのだろうか、それとも二度とこうして一緒にいることが出来なくなるのだろうか。ここまで来て俺の中に迷いが生じる。本当に打ち明けるべきなのか、もし打ち明けなければ長谷部さんとはもっとたくさん遊べるしいろいろな場所に行けるかもしれない。しかしそれは長谷部さんを騙していることになるし、神崎さんにも迷惑をかけてしまう。俺はいったいどうするべきなのか。





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