第22話
「そういうば修学旅行どうして俺たちと同じグループになったんだ?」
俺が昨日のことについて聞いて見るが神崎さんはやはり肩をすくめるようにしてわからないとアピールする。
「さぁ?春奈が決めたことだから私にはなんとも」
「もしかして女装がバレてるのかな?」
「んー、それはないんじゃないかな。もし気づいてたら春奈は結構態度に出るからすぐわかると思うけど、昨日のはそんな感じじゃなかったし」
「そうか、ならなんでだろうな」
長谷部さんとは学校では全くと言っていいほど関わりがないためなんで俺たちと組んでくれたのか見当がつかない。もしかしたら本当に亮が狙いなのか?そういえば昨日も仲良く二人で話してたしなくはないか。俺が一人でいろいろと考えていると神崎さんは立ち上がり「この事に関してはこれ以上考えたところで仕方ないし、あたし先に帰るは」と言ってテーブルにお金を置いて行ってしまった。最近なんだか神崎さんの態度が素っ気ない気がする。いつからだろうか、確か花火大会の日からだったかな。あの日の神崎さんはいつもと違って真剣だったし、長谷部さんに女装のことを話すべきだと言っていた。もしかしたら彼女の中でなにか変化があったのかもしれない。俺は飲みかけのコーヒーを一気に飲み干すと立ち上がりテーブルに置いてあるお金と伝票を手に取りそのままレジの方まで向かった。
「それじゃあ今日は一昨日決めたグループ内で自由行動するときのルート決めを行う。みんなグループどうしで固まれー」
先生の合図で皆んなが席を立ち各々のグループのもとへと向かっていく。俺たちはというとみんな俺の席のもとまでやってきてくれるため俺は座っているだけでいい。みんなが集まるとそれぞれ行きたいところを話し合う。話し合いが盛り上がっていると途中で先生が一言話し始める。
「そういえば自由行動の日は服装自由だからみんな私服でも制服でもかまわないぞー」
俺はその話を聞いてついぽろっと小さく呟いてしまった。
「俺私服もってねぇーな」
俺は基本女装でしか外出しないため通常の私服は持っておらず、買いに行こうと思っても女装で男ものの服は買いに行きずらいため結局中学生の頃の服しか持っていない。俺の呟きを聞きつけたのか目の前に座る長谷部さんが嬉しそうに話し出す。
「それじゃあこの後みんなで買い物しないかない?」
「えっ」
そんな疑問の声がその場に響いた。いったい誰が発したものなのか、自分のような気もするしそうじゃないような気もする。その場に一瞬の静寂が来るとそれを断ち切るように長谷部さんが続きを話し始める。
「だって私たちってそこまで仲良くないでしょ?だからこれを気にみんなで親睦を深めようよ!」
こうして今日の放課後みんなで買い物、主に俺の服を買いに行くことになった。
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