第7話 魔法の階級

私が魔法を使い初めて半年が経とうとしていた。


半年も魔法を扱っているので、自身の中に流れる魔力を感じられるようになってきた。


体の中で水のように流れていて、魔法を使う時に手や足に魔力が移動していることが感覚的に分かる感じだ。


それに、感覚を研ぎ澄まさると空気中に漂う魔力も感じられるようになってきてるので、ちゃんと成長できてる実感がして魔法を使うのが楽しい。


「ソニアさん上手くなってきましたね。これなら弱い魔物なら倒せそうですね。」


屋敷の中庭で私は今、アレス先生に風系魔法の8級であるウィンド・カッターの練習を見てもらっている。


ウィンド・カッターは自身の手のひらから横の長さ30cmほどの風の刃を飛ばす魔法である。威力に関しては木などに傷をつけるほどの威力があるが、岩や鎧などの硬いモノにはさほど効果がない魔法である。


こうして風系魔法を習っているのは、私が得意な魔法が水系魔法と風系魔法であるためだ。


魔法には初級魔法である10級から大魔法の1級までと10段階の魔法の階級があり、階級が上がるにつれ魔法の詠唱の長さや使用する魔力総量も大きくなるので大変である。


どの階級の扱えるかによって魔法使いはランク分けされており、初級魔法なら10級魔法使い、大魔法なら1級魔法使いといった感じだ。


こうして魔法の練習をしていると、水系魔法と風系魔法以外の魔法は8級魔法の所で発動するのが大変だと分かった。


魔法を発動するにも魔力の流れが何かに阻害されているような感じ、発動できても魔力消費量が水系魔法と風系魔法の倍の量を消費してしまった。


私は戦に強そうな火系魔法や土系魔法が良かったが、こればかりはどうしよもなかった。


私はウィンド・カッターを打ちながらアレス先生に尋ねてみた。


「アレス先生、そろそろ特殊系魔法の治癒魔法を教えてくれませんか。ウィンド・カッターも詠唱破棄で出せるようになりましたから。」


本来魔法は詠唱を唱えて発動するが、体に流れる魔力やイメージを保つことで詠唱破棄を行うことができる。いわゆる無詠唱魔法だ。


無詠唱で魔法を発動した時、最初転生者である私だけの特権だと思ったが、どうやらこの世界では無詠唱は一般的だということ。


無詠唱で行える階級の魔法を使いこなすことで、何級魔法使いと呼ばれるそうだ。


「うん~特殊系魔法は6級にならなければ教えられないです。6級の魔法と同じぐらい魔力を消費するので6級の魔法を使いこなせたらいいですよ。」


「わかりました。  そういえば先生の階級はどのくらいなのですか。」


「私は3級魔法使いですね。王都でも3級魔法使いは少ないですし、3級になればこうして貴族の家庭教師としての仕事につけてますので、優秀な魔法使いの部類に入りますよ。」


「そうなんですか!凄いですね!私も3級の魔法使いに目指してみます。・・・あー少し眩暈がしますので休みますね。」


「朝から魔法を使っていましたから、魔力枯渇を起こしたんですね。まだ昼ですが今日はここまでにしましょう。」


魔力というのは筋肉みたいなもので、鍛えれば鍛えるほど魔力総量を増やすことができる。ただ筋肉痛と違い偏頭痛のように頭が痛くなるのが難点である。


こうして半年間魔法を使っているが、この魔力枯渇による偏頭痛だけは慣れない。


「ではアレス先生また明日もお願いします。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る