万華鏡の夢

第6話 少年は運命に招待状を出した

「おいしい！！！ 本当に美味しい！！」目の前で心からの賛美を送る七夜を見て、清香は微笑を浮かべた。

目の前に広がるテーブル一杯の料理、煮物、揚げ物、オーブン焼きのミートボール、チャーハン、そしてケーキもあるようだ。まるで宴会だ。しかし、彼女が作れる料理が本当に多い。そう思いながらも、礼儀として七夜はこんなことを尋ねずにはいられなかった。

「でも、本当にいいの？ 村の人たちが送ってくれた食材を全部俺が食べてしまっても」

もう作ってしまったのだから。

「たぶん茜は夜食がなくなってしまうけど、怒られたらその時考えるから、大丈夫、大丈夫。」

もう作ってしまったのだから。

「それなら遠慮なくいただきます！」

七夜は最初から食べきれるかどうか心配していなかった。隣に同じく夕食を食べていない清香がいることを差し引いても、1日中高い体力を消耗した後の彼にとって、今夜の料理は何もかもが耐えられないほどだった。

しかし、最終的にはうまく処理できたとしても、あの連中は放っておけない。

「ねえ清香。」

「ん？」

「昼間のあいつら、何者なの？ 神社も借金も関係あるって、もしかしてここの経営状態が悪いの？」

これを聞いて、清香は左手のチキンレッグを置き、右手でフォークに巻いたスパゲッティを口に運ぶのをやめた。

彼女の口元に残るミートソースを見て、このやつ、俺より食べられるかもしれない。ここが君の食べることで貧乏になったわけではないか？！と内心で突っ込むが、真剣になった少女を見て、七夜も真面目に座った。

「実は、その人たちは私に借金を追い求めて来たので、神社とは関係ない。あなたも彼らには言わないでください。」

「どうして？ この家にはお金をかけるようなものがないけど？」やっぱりあなたか、この家を食べ尽くして借金をする羽目になったんじゃないか？！

「実は私が彼らにそのお金は「万花鏡」からの補助金で、神社の赤字を埋めるために使っていると嘘をついたの。」

「補助金？赤字？」確かに核心ではない仕事のメンバーや実験の参加者の家族には、一定の補助金が支給されると聞いている。清香の場合、補助金は少なくないはずだ。神社の赤字がそんなに大きいのか？七夜の疑問は次から次へと出てくる。

「実は、私にはどんな能力もないから、実験計画が停止した後、私への補助金もほぼ停止された。しかし、能力がないため、神社の日常的な収益に参加することができず、だから基本的な雑用だけを担当しているの。」

「収益？そういえば、神社がここでどうやって運営されているのか、本当に知らないな。」停止…、「そこ」の書籍には、これらの下属組織の収益モデルについて記載されていない。

「実は…それは…」

「ん？」清香がそんなにもじもじしているのは珍しいな、もし携帯があったら、その場で撮影したいくらいだ。このくそじじい！！！

「くちじおうじう」

「ん？」声が小さすぎて聞こえない

「くちかみ酒を売っている…」

「え？」七夜はそんなものについて聞いたことがあるが、実際にそのような形で現実で遭遇するとは思わなかった

「…」清香は顔をそむけて恥じらった

口嚼酒だって、そんなに大げさになることはないだろう、思春期の少年じゃあるまいし。

「つまり…口で噛んで…その後吐き出すあの種類の？」

くそ、なぜか私も恥ずかしくなってしまった。でも…清香の…

「…そう、私には神とのコミュニケーション能力がないから、加持を与えることができず、そういう酒を作ることができないし、結婚式を祝福したり、邪悪を払うこともできない。茜も爽も年が若すぎて、能力がまだ十分ではないし、百合おばさんはもう結婚しているから、神社の経営状態はずっと良くない。」

こんなことは初めて知った。でも、これで「万花鏡」内の宗教関連の公益性施設が、「御前神社」のように経営に苦労しているのかどうかが分かる。帰ってじじと話し合わなければ…ちょっと待て、私は家出したんだ、隠密行動じゃない、こんな時に何を公務を考えてるんだ。どこまで考えたんだっけ、そうだ、清香の口嚼酒…ちょっと待て！？

「どうしたの？顔色が悪いみたい。どこか食べて気持ち悪くなった？」

清香はさっきまで大きな口で料理を食べていた七夜が突然呆然としているのを心配して見た

「あ！？ああ、大丈夫、本当に大丈夫、見てみて。」食卓の料理を风卷残云のように食べる姿で、ようやく清香を安心させ、彼女も食べる行列に加わった。

西洋式の大きな食卓に四人分の食事が二人で食べ尽くされた、「お腹いっぱい、満足満足。」こんなに豊かで美味しい食事を久しぶりに食べた。できれば、永遠にここに住みたい。「そこ」の食事も悪くないが、一年中同じ数の料理で、飽き飽きしていた。

「おじさんみたいにお腹をたたきながら歯楊枝で歯をいじるな、早くお風呂に入って。」皿を洗っていた清香が、食後のひとときを椅子にだらしなく座って楽しんでいる七夜に向かって文句を言った。

「はーい、はい。」七夜は立ち上がって、浴室の方向に向かって歩いた。

突然、二人は同時に気づいた。誰もが今夜ここに泊まる話をしていなかった。

「ああ、違うの、私、ただあなたがお風呂に入ってから帰るって言いたかっただけで、あはは。」何だ、その言い訳はひどすぎる。彼に一晩泊まってほしいなら、直接言えばいいのに…なぜ言えないんだろう

水道の前で言い訳を探しながら手をこまねく少女を見て、少年は決心を固めた。

そして、少年は運命に招待状を出した：

「ここに一晚だけ泊まらせてもらえませんか？」