第4話

雑木林のなか、2人で遺体を埋めるのは想像以上に過酷かこくだった。落ちていた枝や手持ちの刃物などで、がむしゃらに地面を掘り、その穴に遺体を転落させた時には空は明るくなり始めていた。


ムロオカとカワダは遺体に土をかけ、更にその上を小枝や落ち葉で覆った。

疲れて座り込むムロオカを尻目に、カワダはテキパキと私物を紙袋やビニール袋に仕舞うと、ムロオカのところにやって来て、突きつけるように銃を差し出した。

おどおどしながらムロオカが銃を受け取る。


「ガキどもが通報したかもしれんから早く行け」


そう言うと荷物を担ぎ、足早にその場を離れて行った。一度も振り返らないまま歩いて行き、その背中はどんどん小さくなる。

恐らくそのまま遠くの土地に行くつもりなのだろう。


あまりに淡白な別れといさぎよい逃げっぷりを、ムロオカは呆然と見送った。

そしてノロノロと立ち上がり、手の中の銃を見ながら呟く。


「ああ…ずっとが欲しかった…」



 to be continued.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る