第3話


ムロオカが路上生活するようになった際、色々と教えてくれたのが、先輩ホームレスのカワダだった。


カワダは残飯の入手方法や炊き出しのスケジュール、日雇いアルバイトの申し込み方などの生存方法を教えてくれた。


だからカワダが若者らに襲撃されたと聞いた時は本気で心配したし、以降も定期的に様子を見に行っていたのだ。


そして今日、カワダのテントを訪れたムロオカが見たのは銃(らしきもの)を構えたカワダと地面に転がる遺体だった。



事態が飲み込めずに立ち尽くすムロオカをカワダは手招きして呼び寄せ、自分の隣りに座るよう促した。そしてムロオカが両手に1本ずつ握りしめていた缶コーヒーを指で指し、小さい声で「それ、くれ」と言った。


2人は並んで地べたに座り、缶コーヒーを飲みながら遺体を眺めた。

カワダは、これまでの経緯を簡潔かんけつに語り、遺体を埋めるのを手伝って欲しいと述べた。

そして──


「その代わり、をやるよ」


と言い、片手で銃を持ち上げてみせた。

カワダを見るムロオカの目が大きく見開かれ、瞳によこしまな光が宿った。




 to be continued.

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