第2話
住む家も家族も仕事も無くした男が、この雑木林に住み着いて、もう4年になる。
同じ境遇の仲間は男を「カワダ」もしくは「カワさん」と呼んでいた。
全てを無くした男・カワダの手の中には、
それは決して洗練されたものではなく、所々に不格好な手作業の
恐らくは、あのパーカーの人物がモデルガンをベースに制作したのだろう。
試しに雑木林にある木の一本を撃ってみたら、控えめな破裂音を発して弾丸が木の幹に深々と食い込んだ。
腹の底で、ふつふつと何かが沸き起こるのを感じ、カワダは笑い出したい衝動に駆られた。
その
懐中電灯の光が近づいて来るのを。
同時に複数の
「おォい! 居るんだろ!」
「すぐに“引っ越せ”つったろ!?」
「もしくは死んでクダサーイ!」
前回と同じ若者グループによる2度目の襲撃。カワダには
地面に転がった懐中電灯を若者の1人が拾い上げ、それを持っていたはずの友人がいた場所を照らす。誰もいない。
そのまま懐中電灯を下に向けると、友人は地面に仰向けに倒れていた。
胸元は血まみれで、眼と口はうっすら開いていた。若者の1人が短く奇声を発する。
それと同時に若者らは我先にと来た方向へと
雑木林はカワダと
カワダは肩で息をしながら、暫しの間、若者らが逃げ去った方向を見つめる。
そしてゆっくり死体に目をやった。
これをどうするか…と考えた時、左側の暗がりから枝を踏む音がした。
カワダは慌てて音がした方に銃口を向ける。
そこにはカワダより一回りほど年下だが、同じように薄汚れた青年が
to be continued.
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