第7話 カンフーは火事から自分を守れます

今日も、またまたへんてこな稽古です。

型でも組み手でもない稽古の時があります。

道場にはウレタンマットがひいてある所があります。

転んでどこか打ちっちゃっても平気です。

膝を曲げてお尻から背中とつけていく後ろ受け身の稽古や、曲げた両方のお膝をマットにつけてそのまま前に倒れる前受身もやります。

前受け身はジャッキーの映画に出てくるけどあれは後ろからワイヤーで引っ張って大げさに見えるようにしてるんだって。

エレナのトリビアでした。

マトリョーシカのように体を丸めた人を前回りで飛び越える受け身もやります。

ちょっと勇気がいりますが、うまく飛べた時は嬉しいです。

ドヤ顔になります。

うまく飛べなくて頭から落っこっちゃうとガッカリです。

頭打つとちょっと痛いけどウレタンがショックを和らげてくれるので平気です。

「やっぱり子供は体が柔らかいね」

と私達の受身を見て馬先生はニコニコしています。

カンフーらしい受け身もあるよ。

横向き寝になって足を前後に開きます。

右足が上だったら腰を回して下の左足で内回し蹴りをして受け身を取ります。

蹴りと受け身が一緒になっています。

かっこよく敵を倒している自分を想像します。

ジャッキーもやってました。

これはかっこいいから好きなんだよね。

寝転がってる人がまさか蹴ってこないと思うよね。

そこがカンフーの奇襲攻撃の特徴らしいです。

奇襲って意味分からないけど。

今日はそんな派手な稽古じゃありません。

お腹をマットにつけて肘で進んでいく稽古をするそうです。

ものすごく地味で嫌になりそうです。

これがカンフー?と思ってアナスタシアちゃんに目配せすると、アナスタシアちゃんは「ノンノン」と人差し指を立てて私に振って見せ「やるならやらねば」とおこちゃまの私に目で合図します。

ハイハイやりますよ…と目で返事する私です。

「火事の時は焼け死んじゃうより煙で死んじゃうことが多いの」

と馬先生は言いました。

「カンフーは人間相手に負けないだけじやなくて災害にも対応するのよ」

と言われやっと私もやる気が出ました。

お家の隣で火事があって怖かったことを覚えています。

避難訓練は好きじゃないけど、アナスタシアちゃんとならなんとかできそうです。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る