第6話 歓迎

足速い2人に着いて行くと、可愛らしい外見の家に着いた。


「ここがレベリオン事務所よ。麦香、帰ったわ。」


ドアの上に着いているカメラに話しかけていた。

「おかえりなさい!すぐ開けるね!」


元気な明るい声がどこからが聞こえると


ガチャ


「おかえり……ん?誰?」

「!……耳」


頭から猫の耳が生えた女の子が出てきた。猫の耳があるって事は、確か紛い族まがいぞくと呼ばれてた気がする。下級層では、紛い族の動物園があり、良い扱いはされていなかった。


「初めまして、麦香むぎかって言います。」


目が細くて、ベージュ色の髪の毛の女の子だ。猫の耳が生えていて黒い。シャム猫のようだ。



「初めまして、俺はテイトって言います」

「テイトよろしくね、どうぞどうぞ、入って!」


「あら、雨子と大和じゃない。2人が倒れるなんて珍しいわね。」


麦香の後ろからは、オールバックで1つ三つ編みをした黒髪の女の人が出てきた。


涼紀すずき、お湯で濡らしたタオル持ってきて欲しい。」

「分かった。陽は怪我してない?」

「うん、僕は大丈夫だよ。」


陽君が俺の横をすり抜けて、2人を抱えたまま入っていった。


「ほら、テイト君も入って。」


麦香さんに背を押され中へと入る。家の中は綺麗で可愛らしい、〈これが女子の部屋!〉というピンクと白を基調とした家具が沢山置いてあった。


「ふう、涼紀と麦香に任せたら安心だわ。テイト君も初任務お疲れ様、2人が起きるまではゆっくり過ごしてて大丈夫よ。」

「ありがとうございました…あの2人は今どこに…」

「怪我を治してるのよ、涼紀が少しだけ治癒の心力があるから、治療中なの。」

「はぁ……大和君が暴れても知らないからね。」

「もう、そんなこと言わないのよ、陽。」


案内された部屋のソファに座る。フカフカでピンクのフリフリが付いた可愛らしいソファだった。


「ねぇ、あんな場所での自己紹介だったから、改めて私を知ってもらいたいの。」

「あ、ぜひお願いします!」

陽君がお盆に飲み物を入れて、手渡ししてくれた。


「私は、レベリオン事務所の蕪菁 豆矜かぶら ずきんです。ラヴァーズ事務所の律と誉とは、長い付き合いがあるの。」

「律……誉。」


名前しか知らないが、律と誉はラヴァーズの一員で蕪菁さんと仲良しなのか。


「えぇ、特に律なんて幼い頃から可愛がっていたわ。あ、私の方が歳上なんだよ。」

「そうなんですね。」

「あとね、えっと……実は、私、雨子ちゃんのことが……あー!言っちゃおうかなあ!?」


突然雨子の名前を出すと、恥ずかしそうに両頬に手を当て、頭を横に振り始める。


「さっきは手荒なことしてごめんね、僕はようって言うんだ。」


そんな蕪菁さんを無視して陽君が話し始める。


「豆矜は雨子の事が大好きなんだ。だから、今回も律さんから着心が来て1人で飛び出して行っちゃったから、僕が追いかけたんだ。」


綺麗な顔でニコッと笑う陽は、可愛らしかった。


「来てくれてありがとう……助かったよ……陽……ちゃん?」

「なっ_______!!」

「ぷっ!!!」

「陽……ちゃんだってよ、あははは!!」


ちゃん付けで呼んだ途端、顔色が変わり、机に両手をバンと着いた。どこからか戻ってきた涼紀さんと、初めて見る大柄の赤髪上裸の男の人が大笑いしている。


「僕は男だ!!女じゃない!!」

「えっ!ごめん!」

「まぁ、陽怒んなって!」

「僕は、身長高くなる筈なんだ!なのにまだ伸びない!!」

「負け惜しみか〜??」

「うるさい!」

「声変わりもなかなか来ないもんね……ぷッ、笑ったら失礼よね……ぶふっ!」


赤髪の人が陽君の肩に腕を回し、ケラケラと笑っている。蕪菁さんも笑っていた。


「ふふふふっ、はぁ、面白かった!テイト君、大和が起きたよ。」


涼紀と呼ばれていた人が俺を手招きする。その人について階段を下っていた。地下室があるみたいだ。


「大和って、あんまり人を好きにならないの。だから、ちょーっと手荒な事しちゃったけど、悪気がある訳じゃないから、そこだけ理解してね。」

「?」


大和は好青年って感じがしたけど、皆からしたら違うのか?


「はい、ここね。」


頑丈に重そうな扉が開くと







「んーーー!!!んっ!!ん!!!」



口に布をぐるぐる巻きにされ、ベッドに体を拘束されていた。


「え……」

「大和君、レベリオンの事あまり好きじゃないから、私達に助けられるのをすっごく嫌がるの。」


大和の口のグルグルを外してあげる


「帰るぞ!!」


タオルはヨダレでベタベタになっていた。


「うわ……、」

「おい!汚いとか言うなよ!!」

「え、なんで知ってるの」

「顔に出すぎ!」


体をよじりながら、顔に血管が浮くほど怒っていた。


「うるさい」

「やっと起きたか……」

「雨子大丈夫だった?」


大和の声で起きたのか、雨子がベッドから体を起こした。ゴーグルではなく、目には包帯が巻かれていた。


「涼紀、ありがとう。」

「いやいや、本当に微々たる治療だけどね。」

「お礼も言えないソバカス野郎でごめんなさい。」

「おい!!」

「いいのいいの、どうするすぐ帰る?」

「蕪菁さんにお礼を言いに行く。」

「そっか、豆矜喜ぶよ!」


「テイト君は、ソバカス野郎の相手してあげてて。」

「分かった。」

「……は!帰るぞ!俺は!」

「はいはい、勝手に帰りなさいな。」



「テイト!今すぐこの縄解いてくれーーーーーーーーーーー!!!」


「話が終わるまで何もしないで待ってて。」

「雨子ーーーーー!!!!」



鉄骨のベッドが、ガンガンと大和の振動で音が鳴る。雨子は涼紀さんと一緒にドアを開け、階段を上がっていった。



「あんまり身体を動かすと、また怪我するよ。」

「テイトが抱きついて離れなかったからこうなったんだろーーー!!!」

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