第7話 使命と支配-④

 ミー二たちは少年の村へ歩いて行った。竜が討伐されたことで、塞がれていた道を使うことができたので、すぐに移動することができた。


 村に着くとやはり、外にはだれもいなかった。ミー二とダージーンは二人で少年の家まで行った。


「手を出して…… この泡を返してあげて」


 ダージーンはミー二から差し出された、小さなオレンジ色の泡を受け取ると、扉を叩いて、中に入った。

 小さな机に向かって三人は座っていた。ダージーンは少年の肩に手を置くと名前を呼んで、泡を少年の胸にかざした。


「ダージーン? なんで家にいるの? 体調は元にもどったの? あ! お姉さんに会えたんだね。 すごいんだよ、ダージーン。 おねえさんはね、竜と戦える……」


 ダージーンは少年をぎゅっと抱きしめた。少年の耳元でごめんというと一粒の涙を流した。


「ダージーンにね。 渡したいものがあったんだ。 これ」


 少年は机の下にある自身の鞄から橙色の帽子をダージーンに差し出した。


「これをね、見つけたんだ。 ダージーンに元気になってほしくって」


 ダージーンは少し小さなその帽子を受け取ると、再度強く抱きしめた。


「ありがとう。ロウロ。もう、必ず見失わないから」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る