第6話 作戦会議-④

 バハのふざけた作戦はマスターとミティアにすぐに否定された。

 バハの言うはこの星を動かす推進力。軽量で浮かぶ星を操縦するために必要な部品であり、高度な機械。 漂着してからバハはそれを改造し、島からの脱出する準備を進めていた。


「今回の改造では、すぐに加速できる仕組みを搭載した。 先日、漂着してしまったのは、嵐を突き抜けることができなかったからだ。 つまり、速さが足りなかった。 そこで私の天才的な改造でその弱点を克服しつつある。 あとは検証するだけだ。 まず、二本ある尻尾のうちの一本を使い、上空へ一気に加速する。 星は島の全体を見渡せる高さまで移動するだろう。 そして、燃料が切れると徐々にこの島に引っ張られる。 星は軽く、その場に留まろうとするからな。ゆっくりと落ちていくだろう。そこでミー二、君が魔術の糸で、落下の位置を調節する。 竜の場所はわかっているんだ。上空からやさしく調整すればいい。 ある程度、近づいてきたらもう一本の尻尾を使い、この星を竜にぶつける。 上手くいけば、数十秒は竜の体を押さえつけることができる。 その隙に近場に潜んだ君が、竜の首をたたっ斬る。 どう考えてもこの私、バハワロロが立てた、この作戦しかあるまい」


「おめぇ。 毎回ふざけすぎだぞ、 そもそも、今、この酒場が壊れてるから、人手を集めるためにも竜を狩るって言ってるんだぞ。 ぶっ壊してどうするんだ?」


 マスターはバハに呆れるように怒った。ただ、ダージーンだけがバハの話を真面目に聞いていた。


「この店の部外者たる私が、このような意見をするのは大変おこがましいが、その作戦は悪くないと思う。 数十秒もあれば竜の首を完全に断つことができる。 それにこの島の人は家を建てるのが得意だ。 豊富な材木もある。 万が一、大破したとしても、島民の力を合わせれば、すぐに直すことは可能だろう」


「いいんじゃない。 より確実な方法をとるべきだよ。島の人を助けて、島の人に助けて貰おう。 私たちらしくていいじゃない」


「ミー二。 あんたが調整する係りなのよ。 こんな大きなものできるの?」


 ミティアは眼鏡をはずして、頭を抱えながらミー二に尋ねた。


「やり切るさ。 それじゃこの作戦で行こう。 バハ、尻尾の最終調整手伝うよ」

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