第6話 作戦会議-①

 ダージーンはミー二と共に竜狩りを行うことを承諾した。


「ただ、今の私はこの剣の力を使うことはできないぞ。 剣は騎士の誇りそのもの。 今の私はそれを失っている。 参加はするが、力になれるかどうか……」


「大丈夫だよ。 必要なのは剣の力じゃない。 あなたの力。 魔物を討伐してきた経験は無駄にならない」


 ミー二は荷物を片付けながら、竜を狩る方法を考えていた。いくつかある方法の中でダージーンが協力してくれるのであれば、できることも多かった。


「村の人たちもロワロも、みんなを助けるには、あの竜の心の世界を切り裂いて、喰われたものを取り出すしかない。 その役目をお願いしたいんだ」


「世界を切り裂くというのはどうするんだ? 私はまだ、心の世界というものには懐疑的なんだが、できるものなのか」


「私の術をあなたの剣に仕込む。 そうすれば一度だけ、斬る事ができる。 何本も剣を用意できればいいんだけれど、こればっかりは相性の問題もあるから…… 何とか私が竜を誘いだすから、あいつの心臓。 そこを狙って斬ってもらう」


「とりあえず、私の酒場へ戻ろう。 この洞窟は島の外につながってる? 私の酒場はその近くにあるんだ」


「ああ、少し回り道になるが、繋がってはいる。 案内をしよう。 丁度、あの竜の脚元を通る事になるが…… 」


「居場所がわかるの? あんなに嫌な雰囲気があるのに、目の前に現れるまで、私はまったく気配を感じ取ることが出来なかったんだ。 どうやって把握しているの?」


「使命を遂行する為、剣と共に付随してきたというべきか…… 魔物を感知するために五感が強く働くんだ。それで何となくだが、分かる。 断層ができた場所で眠っている」


「だったら、昨日から移動はしていないのか。 ……好都合だ。 早く移動しよう」


 ミー二とダージーンは灯りを手に取って、真っ暗闇の洞窟を進んで行った。

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