第5話 騎士ダージーンー①

 ミー二はカーサローアの森へ向かって走っていた。少年の母親の態度や村の様子から一刻も早く竜を狩らねばならないという感情がミー二を急かしていた。


 森の木は、昨日見た木よりもはるかに大きく比べ物にならなった。そしてそういった木びっしりと生えている。


(森を通って行った先に洞窟があるという話。 この広さ、時間がない。 急がないと)


 ミー二は義手の爪を立てて地面に手を突き刺す。深く息を吐いて、指先から魔術の糸を地中に伸ばしていく。目の前にある大きな木をまねるように太い糸から何本も枝分かれさせて、糸を広げていく。額に汗が浮かび、義手の指先が少し冷える。糸を伸ばすにつれて掠れていく指の感覚を失わないように心の世界を整えて、糸を撚る。


(見つけた。 思ったより近いな。これならすぐに……)


 ミー二は糸を開放して、地面から指を抜いた。荷物を背負い直して、発見した洞窟、その中にある強い力の方へ向かうため、森の中へ侵入した。


 森の中はほとんど日の光が通らず、まだ昼間だというのに真っ暗だった。ただ、ミー二は先ほど魔術の糸で辺り一帯を捜索したので、躓くことなく走って進むことができた。



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