第2話 竜-①
ミー二の酒場「ホンスーン」は島の端に流れ着いていた。島の周りは硬めの雲が島を包み込むように風に流されている。
階層世界の雲はいくつか種類があり、島を包む雲は慣れれば掴むことができる雲である。
その為、万が一流されたとしても泳ぎ、浮かぶ訓練をしていればどこかへ落下していくこともない。
階層世界の支配者は「空」である。空の中で生きていくためには、掴める雲を見極めることが重要なのである。
ミー二は雲の様子から、やはりこの島は自身が持つ地図にはなかった島だと確信した。雲の粘度と風の流れ。そして、広大な緑の平野。なにかしらの事故が起きなければ発見できなかった場所。
「これなら多少遅れても、王様にいい報告ができるかな」
ミー二は雲を掴んだ手を払うと、目の前に続いている旧世界の石畳の街道を歩み始めた。
街道の石はところどころ、ずれていたり、石が重なり、道を塞ぐこともあったが、様々な土地を旅してきたミー二は、軽い足取りで難なく進むことができた。
周りには壊れた建物がいくつか発見することができた。これらは世界が分かたれる前、世界が一つの時に建築されたものである。そこから、どのような国があり、生活があったのかが見て取れ、そしてそれらは人がいる可能性を示唆していた。
世界が分断されるときに、様々な変化が起こったが、多くの人々は生き残った。大地が砕け、分断はされたが、生活に必要な資源を限られた土地の中で循環することができれば、生き残りそのまま発展していくことは可能であった。
ミー二が属する王国もその一つで、世界が分かたれた当初は大変だったと王様から聞いていたが、限られた土地で王国として機能しているのを見るとミー二は本当だったのかと疑いたくもなる。
それほどまでに、分断された世界でも発展をすることは可能であるため、この島にも人がいる可能性はあった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます