第1話 漂着-④

「そういえば、他のみんなは?」

 ミー二は外に出かけるために腰にポーチを括り付け、必要な道具を中に入れて準備を進めながら、カウンターで一服しているマスターに質問をした。


「バハはまだ寝ているだろう。 お前と同じ考えだ。 強度を上げるための設計作業を昨日の夜、一心不乱にやっていたよ。」


 マスターは口から煙を吐いて、煙菅を灰皿に置いた。


「エーレは自分の畑の調子を見に行った。 あそこには特にトポロの被害は出ていないが、嵐の影響が多少あるかもな。 ミティアは自分の部屋にいるだろう。 あとで、この島の事を伝えてやれ、地図を更新してくれる」


 マスターは立ち上がり、椅子にかかった上着を持って、ミー二に着させようとするが、ミー二は大丈夫と言って自分でその上着を羽織った。


「ちょっと暑いかな? 夕方までには戻るよ」


「気を付けて行って来いよ…… ああ、できれば仕事を持ってきてくれ。 お前らの飯を作ってるだけじゃ腕が暇だって言ってな、満足してねぇんだわ」


 そう言ってマスターは筋骨隆々の腕を見せて、いつものようにミー二に自慢した。


「どっちもわかってる。 じゃ、行ってくるね」


 ミー二はマスターに微笑んで、丸い木の扉を開けた。

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