第12話 旅の行く先
「やっと戻って来たな。」
「待ちくたびれたぜ。」
俺はメイリィとアランの真ん中に立ち、全員で言う。
「クロ、おかえり!」
クロは涙ぐみ、嬉しそうに言う。
「みんな、ただいま、」
クロが帰って来た。
「私はすごく、すごく遠い昔、目を覚ました。
そこが、何処なのか、私は何者なのか、私は私の全てを覚えていなかった。
すると声が聞こえた、そこには私一人だったのに、声は私の内側から聞こえてきた。」
「貴方の名前はクロ。」
「そうなの?貴方は誰?」
「私は貴方の狂気。」
「狂気?どういう事?」
「その声は消えた、そして私はある事に気づいた。
天の光が堕ちる時、私は私では無くなった。
破壊の限りを尽くす
そして私は人と関わることを辞めた。
私は千年間、ひたすら歩いた。
どうやら私には、人で言う所の寿命は存在しなかった。
酷い呪いだ。
自身の意思でも消せない。
時間が経っても消えない。
何をやっても消える事はない。
まるで千年間、私は孤独の為に生きているみたいだった。
そして出会った。
私に手を伸ばす人に。
キラに。」
クロは今までの、知っている限りの出来事を喋ってくれた。
「クロ、ずっと大変だったんだな。」
「まじか、クロって歳が千…」
「やめとけ、メイリィ!」
アランとメイリィは、いつもどおりに、ふざけた。
だが、俺には、これがクロの救いだと思った。
「ところであの黒装束は、なんだったんだ?
クロ、心当たりはある?」
クロは首を横に振る、
「そうか。」
でも、あいつらは警戒したほうが良さそうだ。
「じゃあこれからの目標は、クロに何があったのかを調べる事を視野に入れて旅をしよう!」
俺が宣言すると、みんなは頷く。
するとクロが俺の肩を叩き、
「本当にありがとう、キラ。」
「あぁ、どういたしまして。」
「よし、みんな、戻ろう、王国レティアに!」
俺達はレティアに戻って来た。
何故か門には誰もいない。
「あれ、おかしいな、いつもは門番が居るのに、」
「まぁ、いいんじゃねぇか?行こうぜ!」
メイリィが走って宿の方に行く。
すると、騎士が宿の前に居た。
アランが言った通り、何かがおかしい。
「おい!例の冒険者が居たぞ!追いかけて捕らえろ!」
「やばい、逃げるぞ、みんな!」
俺達は路地裏に逃げた。
「よし、騎士は俺達の事、見失ったな。
でも何故だ?」
考えていると、後ろに、誰かが居た。
「誰だ!…って、カルナ師匠!」
「やっと見つけた、急で悪いが、上の奴らがお前達の事を、狙ってやがる。」
「えっ!?何で!」
「クロが暴れ過ぎたからだな、上の奴らがクロを危険視した。
ここに居たら捕まる、早く、他の国に逃げろ!
俺が裏門に牛車を手配しといた、荷物もそこに乗せといた、だから。」
「待って下さい!それじゃあ、カルナ師匠が、」
カルナ師匠は笑った。
「大丈夫、こういう時こその、英雄の肩書だ、
…キラ、師匠になったのに、鍛えてやれなくて、ゴメンな。」
俺は強く言う。
「謝らないでください!俺は、カルナ師匠に助けてもらいました、すごく感謝しています。
いつか、また会いましょう!約束ですよ!」
カルナ師匠は微笑む。
「あぁ、約束だ!行って来い!」
俺はカルナ師匠に背中を押され、走る。
俺達は裏門に向かって走る。
俺は振り向き大声で言う。
「カルナ師匠!ありがとうございました!!」
「ったく、大声出したら、騎士にバレるだろうが、まぁ、わるくは…ねぇな。」
俺達は牛車に乗り出発した。
「なぁキラ、別の国って決まっているのかよ?」
メイリィが聞いてきた。
「実はもう決まっている!」
「俺達が行く次の国!それはあっちにある!」
俺は天に指を差した、
「それって…」
「俺達の旅の行く先は」
「
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます