第8話 師匠の後悔

カルナさんに手紙を貰い、集合場所を教えてもらった。


「この通りを右に行ったら、あ、」


遠くの方にベンチに座っているカルナさんが見えてきた。

すると気付いたのかこっち向いて手を振っている。

俺は走って近くによった。


「おう、遅かったなキラ、よし、始めるか。」

「あの、何を始めるんですか?」

「そりゃあ師匠と弟子がやることと言ったら一つ、すなわち、」

「特訓だ!」


そう言うと、カルナさんは奥から人形を取り出して来た。


「こいつはこの国でも数十台しか無い、」

高性能人形ハイスペックドールのトックンだ。」

「そんな凄い物使わせてもらっていいんですか?」

「全然良いんだ、騎士団長のとこから盗ってき、ゲフン、借りて来たから。」


あっ、これは許可取ってないやつだ…


「まぁ一発、攻撃してみてくれ、全力で。」

「あっ、はい!」


俺は剣を抜き集中した。

魔素を取り込み、体を巡る魔力を剣に込め、腕に溜め、放つ!!


火斬カザン!」

「え?」

俺はこの攻撃に全力を出した、はずだ、なのに

人形にはかすり傷しか付かなかった。


「おっ、まぁ最初はこんぐらいだな、良いスタートだ。」

「キラ、お前は今日中にこの人形に、深い傷を付けてみろ。]


俺は出来るか不安になった。

だが俺はこんなところで止まれない。

俺は攻撃の準備をした。


「ふぅー、火斬カザン!」


そして数時間が過ぎた。


「よし一旦休憩だな、ほら、水だ。」

「ありがとうございます。」

「なぁキラ、お前の父さんはどのくらい、俺達の話をした?」

「えっ、全く聞いてません。」

「たくっ、あいつ話してないのか、まぁ良い、」

「ちょっと昔の話だけど良いか?」

「はい。」

「俺達がまだ冒険者の頃、ネルと俺、それともう一人ライザって奴と三人パーティーで冒険をしていたんだ。

そして俺達は英雄を目指していた。

だけど一番努力してたのはライザだったな、

それなのに、ライザは英雄にはなれなかった。

あの夜、三人で酒を飲み、話をしていた。

そして、ライザは立ち上がり言った。

もう…いいか?ってな。

そう言って俺らの前から姿を消し、

数ヶ月後、ある事件が起きやがった。

とんでもない事件がな、聞いたことあるか?

王国ガランテの大量虐殺事件、

その指導者がライザだった。

俺達は信じなかった、が、証拠は揃っていた。

その事件から、ライザは消息を絶った。

今は何処に居るかも分からねぇ。

はぁ…あ〜すまん長かったよな。」

「あっ、いえ。」


父さん達にそんな過去があるとは知らなかった。

その悲しみは計り知れないものだっただろう。


「お前に何が言いたいかって言うと、まぁ単純だ。」

「仲間とは後悔が無いように、話し合え、それだけだ。」

「…はい。」

「よし休憩は終わりだ、さぁ続きだ、続き。」


俺はまだ何も知らないのかもしれない。

仲間がそんな事になって別れるなんて、

そんなの、嫌に決まってる、今は色んな感情が湧き出くる、だけど、前に集中しろ!

強くなるために!

感情を一束にして、火を着け、焚きつける、心を燃やして一心に剣を振るう!必要な回数は一度のみ。


天情火テンジョウカ


地から天に向け炎剣が敵を両断する!

俺が目を開けると、人形は縦に斬れていた。


「嘘だろ、あれを斬っちまうとは、想像以上だ。」

「ネル、お前の息子は、凄いぞ、」

「よし、今日はここまでだ、キラよくやった。」

「まぁ騎士団長に見つかったら弁償だな。」

「あっ、すいません。」

「まぁいい、キラ今日は本当によくやった。」

「ゆっくり休め」

「はい!」


今日は凄く疲れたな、早く帰ろう。

宿が見えて来た、ん?あれはアランとメイリィ、慌ててる、何かあったのか?


「あっ!キラやっと戻ってきたか、ちょっとこれ見てくれ。」

「えっ、何、手紙?えっと……」

「あなたたち四名を魔物討伐隊の一員とする。」

「明日の早朝に集まる様に。]


「魔物討伐隊?」

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