第2話 一人で初めての城壁内
旅人から聞いた話しを整理すると冒険者になるためには金が必要。そして俺自身まだ魔法が使えない。魔法を習うにも金がいることだ。
魔法は確かに大事だが、冒険者にならなくては奴隷として売られてしまうためまず先に冒険者になることを優先しようと思う。
俺の住んでいるオブレスティイ国のアスカラ都市は城壁に囲まれて作られている。
冒険者組合があるのは城壁内の中央区間にあることは知っていたため、家族にバレないように時間を見計らって行くことを計画した。
まだ太陽が昇る前に目を覚ました俺は、家族に気づかれないように密かに行動した。
軽食と2人の兄が稼いだ金を握りしめて
「慰謝料を貰っていく」
これまで殴られた報いから2人の兄の貯金を貰った。
この地域では夏と冬しかないがまだ肌寒い風が流れる中、軽食とクソな2人の兄の金を持って俺は城壁に向かって歩いた。
城壁につく頃には日が登りはじめ、城壁の検問所には多くの旅人や商人でごった返していた。
俺はその列に並んで、2人の兄の金を確認した。
銀貨4枚、半銀貨1枚、銅貨38枚であった。この世界では、パンひとつ銅貨2~4枚で買えることから。銅貨100円、半銀貨1000円、銀貨1万円だと考えられる。
「2人の貯金合わせてこんだけ」
かなりの枚数が入って期待していたがほとんどが銅貨で落胆した。
「これまで金貨は見たことないが1枚10万円か?」と考えていたら
「そこのガキこっちだ!」
検問所で俺の番がきた。
「名前と犯罪経歴はなんだ、持ち物は金と食べ物だけか、何用で都市に入るんだ?」
「名前はタキロス、犯罪経歴はない冒険者になりたくて都市にきた」
「・・・銅貨16枚だ」
大したいざこざがなくすんなりと城内に入ることができた。
「銅貨16枚で1600円ぐらいか高かいな」
何度か父親や兄と一緒に城内に入ったことはあったが、一人で入ることは初めてだった。
城壁内に入ると最初に目にしたのはやはり人の多さだ。まだ日が昇って少しなのに屋台は立ち並び人々とは活気に満ちていた。
魔法の道具や剣や衣類、食材などが売られ、肉が焼かれ胃袋が刺激される匂いが漂っていた。
「金が勿体ないから先を急ぐか」
今なら肉を買える金があるが、冒険者になるためにお金は必要なため節約しなくてはいけなかった。
冒険者組合がある中央区に近くづくにつれて建物も変わってきた。
3階や4階建ての中世ヨーロッパ風の建物も増えてきて、剣や斧、魔法の杖?などいかにも冒険者に見える人達が増えてきたのだ。
そしてついに冒険者組合が見えた。5階はあろう周りの建物よりも格段に大きく人がごった返していた。
前世では見慣れていた5階建物であっても、この世界で初めてみた大きさの建物に緊張と不安に駆られてしまったが、
意を決し冒険者組合に足を踏み入れた。
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