転生したならチート能力なんてなくて上等!!成り上がってやる!!
きりいわ
第1話 転生者
俺の名前はタキロという。畑の食べ物にちなんだ名前だそうで、平民のため苗字がない。
俺が転生者だと分かったのは6歳の頃、もともと小さい時から生活に違和感を感じていたのがきっかけだ。
いつもおぼろげな記憶が頭から離れなかったからだ。
ある時、旅商人のおじさんが火の魔法でたばこをふかしていたのが決め手となったのだ。
時間が経つにつれ、徐々に前世の記憶を思い出していったのだ。
そうここは俺が夢にまでにみた魔法の世界だったのだ。
ただ問題があった。前世の記憶はあっても、役立つことがほとんどないことだ。
覚えていることは、30代後半まで会社勤めで、深夜帰りの日々を送っていた。俗に言うブラック企業の社員ということだ。
朝から夜の終電まで働き、長い電車の通勤時間を経て家に帰って沈むように寝てそれを繰り返すそんな日々であった。
そんな中で長い電車の通勤時間に読んでいた異世界ラノベが俺の心を癒してくれた。
非現実を忘れられるのが異世界ラノベだったからだ。貴族に転生し、お金持ちで優雅な人生を送り、チート能力で世界を救い、俺ってカッコイイとイメージしていた。
なのに!「転生したのに思っていたの違う!」
転生したのは、平民であるが更に平民の最下層に位置していたことだ。平民としての地位は同じでも俺の家は都市の城壁外にあり、お金がない人同士で村のように過ごしている。
城壁内の平民の家には水流式トイレでまた電球のような照明まである。対して我が家はぼっとんトイレで灯りは月明かりだ。
また家族は他に4人いるが、父親に母親そして上に2人の兄がいる。
この家族がクソだった。いつも2人の兄から殴られるし、父親からも殴れる始末。対して母親に助けを求めても無視をされる。
食事に関しても、石のようなパンに野菜の土を落としただけのようなモノ。肉が食事に出たかと思うと、肉の端切れしかありつけなかった。
前世の記憶があるため耐えられなかった。
こうなったら、前世の知識を生かしてこの家を出て貴族か金持ちになってやろうと思った。しかし無理といることがすぐに分かった。
旅商人の人達に聞いているうちにこの国のことが大体わかった。
俺の住んでいる場所はオブレスティイ国のアスカラ都市と呼ばれているそうだ。
貴族制の国で貴族が国を統治している異世界ラノベのテンプレのような国だ。ただ違うのは平民と貴族の権力差が有り得ないほどあることだ。
貴族が道を歩けば平民は道を開け、話をかけたら斬首されるらしい。平民など貴族からしたら虫のような存在だということだ。
だから平民の俺が貴族になろうと行動することで、貴族から斬首される可能性があるためすぐに断念した。
なら前世の知識を生かして金持ちになることも考えたがそれも無理だった。ブラック企業に勤めている時に、転生してもいいようにマヨネーズや手押しポンプの作り方を覚えていた。
しかし、マヨネーズを作ろうにも卵は高級品として売られているため無理だと分かった。手押しポンプに関しても井戸がそもそもなく、噴水のようなものが既にあり、飲み水専用の場所さえあった。
もっと知識があれば無双できたのに、転生するなんて思ってみなかったから後悔した。
生活を改善するため、商人や大工の仕事に着こうにも
「最下層の子はうちでは雇えない」どうしても家の育ちで見られてしまい働けなかった。俺は商人や旅人に文字の読み書きを習っていて、最下層の人達よりも働けることを示したがどこも雇ってもらえなかった。
こうして俺の夢は途絶えてしまった。しかし、まだ希望はあった。ラノベの定番な冒険者になるということだ。
そうこの世界には冒険者がある。魔法と剣の世界。しかし問題が沢山あった。
俺は今11歳だが、まだ魔法が使えないことだ。魔法を使うにはお金を沢山払わなければ習得できないことだ。
平民なら魔法を一つは持っているのが当たり前だが、最下層の俺では魔法を習得するためのお金がないから魔法を獲得できないことだ。
体の魔力を感じようにも、「ファイアボール」と叫ぼうがうんともすんとも魔法を使うことができなかった。
またこの国では職に就いてない12歳の子供は親の権限で奴隷として売ることができる法律があった。
日頃から家の畑作業をしていたが、職と判断されるのは子供において長男と次男のみであった。
三男である俺は職と判断されないことになっていた。そのため家族は俺を売る前提で職には就くなと言われ、2人の兄からの暴力が日頃から酷くなっていた。
奴隷として売られた場合どうなるか分からない恐怖があった。この都市で奴隷は見たことがないため、鉱山や他国に売られてると想像できた。
「こうなったら冒険者になって成り上がってやる!」
もうじき12歳になるためすぐに行動に移すことにした。
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