第3話
わたしは運送会社で事務の仕事をしている。
「アサミちゃん、これ、コピーしといて」馴れ馴れしい上司。何故か意味不明に内勤でもドライバーと同じユニフォーム。これが知り合いに見られたくないくらいにダサい。隔週で土曜日も出勤だし、お給料だってそんない良くない。結構残業も多いし。
そんな諸々の不満を抱えながらもこの歳になって職を選べないし、すんなり入れたこの会社に今はなんとか馴染もうと必死に愛想をふりまいている。おかげで女性社員とは打ち解けて来て、お互い子供の用事とかで休みを代わったり出来る様になった。まだ入って間もなく、有給のない身には助かっている。
わたしは離婚して、4人の子供を連れて郷里に帰ってきた。元夫は事業に失敗して借金まみれ。養育費なんてアテに出来ないからしっかり稼がなきゃならない。家事に育児にフルタイムのお仕事は大変だけど、どこか元夫に期待を繋いでいたあの頃と比べたら充実している。今年次男が高校へ進学し受験シーズンから大変だったけど、無事入学式も終えてホッとひと息。桜の綺麗なのも目に入るようになった。そんな頃、ふと周りを見渡した時気付いたんだ。彼のあのおかしな歌と、なんだかほっとけない佇まいに。
仕事から帰り、夕飯お風呂、子供たちも寝てお洗濯回す。
ふーん ふーん ふーん ふーん ふーん ふーん ふーん
知らずに口ずさんでる自分に気付いてハッとする。
これは恋なのだろうか?
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