第5話 ハイドの帰還
ハイド達は、森の中で見たドラゴンが街に向かっていることを知り急いで帰ろうとしていた。
「ポインター」
ウロは魔法を発動させる。ポインターの魔法は魔力でマークした物のが自分中心にどこにあるのかが分かる魔法だ。
ウロは、その魔法で街の方向を確認する。
「お兄街の方向はあっちだよ」
指を指しながら方向を伝える。
「ありがとうウロ背中に乗れ振り落とされるなよ」
「わかってるよ…フィジカル」
ウロは、ハイドの背中に乗りながら身体強化をハイドにかける。
ハイドは足に力を入れて真上に飛ぶ。
「ブロック」
ウロが魔法で作った土の壁を足で蹴り飛ばし爆発的な加速で街まで飛び進む。
ハイドが超速度で街に向かっている中ジェイは、時間を稼ぎ続けていた。
『よしっ皆んなしっかり避難できてるな…』
ジェイは、ドラゴンに集中しつつ周りを見る。
街の人達は大きな爆発音と急に現れたドラゴンから急いで逃げている。
『まだ混乱している人もいる全員避難するのにまだ時間がかかりそうだな』
「ぐっ……あぶねぇ」
ドラゴンは尻尾の突きを徐々にスピードを上げ続ける。
ギリギリのとこで避け守り続けるが体に傷がつき始める。
『まずい…攻撃を防ぎきれなくなっている』
ジェイの動きはさっきよりも遅くなっておりもはや時間の問題だった。
シュッパ何かが切れた音ともにバタッとジェイは倒れ込む。片足を切られた。
倒れ込んだジェイを見ながらもう片方の足を尻尾で突き刺す。
「ッ––––」
叫ぶことすらできない痛みがジェイを襲う。
ドラゴンは痛みに苦しむジェイをおもちゃで遊ぶように腕や足を死なない程度で痛め続ける。
ジェイは痛みを耐えながら剣を握りしめる。最後の足掻きだ。
「俺はお前のオモチャじゃねぇ!!」
最後の力を振り絞り剣をドラゴンに向かって投げつける。
カツンと何事もなかったように剣は弾かれ地面に落ちる。
グサッグサッと刺し続ける音だけが響く。そろそろ飽きてきたのか突き刺すのをやめる。
倒れたジェイの目の前で口をガバッと開ける。ドラゴンの開いた口の喉奥に熱い炎の塊があらわれる。
それを見たジェイは絶望するのではなくどこか勝ちを確信するような顔をする。
その顔にドラゴンは苛立ちを覚えたのか溜まり切った炎をジェイに向かってぶっ放す。
一直線に放たれた炎は建物を溶かし燃やしながら破壊し尽くした。
煙が晴れ始めるとドラゴンは驚く。消し炭にしたはずのジェイが生きていたことと炎のブレスを魔法の盾で防がれたからだ。
「よかった…なんとか間に合った」
「あぁギリギリだがな」
ジェイはハイド達の帰還に満面の笑みで喜んだ。
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