第2話 しぼんでしまった紙風船
白い天井を見上げながら、
この空気でできた瓜は、何だろう?
すいかほど大きくはない。マスクメロンのような手触りでもない。
きゅうりほど細くはない。
もちろんかぼちゃでもない。
大きさからいうと小玉すいかぐらいだろうけれど、なかみが白い小玉すいかなんかあった?
それとも、なかには、もっといろいろな色が混ざらずに詰まっている?
赤も青も黄色も焦げ茶色も黒も水色も肌色も。
ジェラートみたいに。
その瓜を抱いているのが美々の役割だ。
守っているのが役割。
だから、体を動かしてはいけないということはないけれど、瓜を落とすようなことはしてはいけない。
瓜が割れるから。
たいせつな瓜が体から離れてしまうから。
そう思ったとき、美々はおなかの上で手を組んでいた。
右手と左手、それぞれの指に、別の指の感触がある。
この感覚も「くすぐったい」といううちに入るのかな?
紙風船のよう……。
手を組んでいる、ということは、美々は瓜をつぶしてしまった。
割れたのは感じなかった。
紙風船から空気を抜くように、しぼませてしまったのだ。
紙風船なら、なかにいろいろな色が混じっていたのも自然だ。
むせるようにしつこいフレグランスが入っていたのも、この紙風船。
紙風船の瓜がしぼんでしまったのなら、もう、左右の均整を崩さずに上を向き続けている必要もない。
ソファの
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます