女の子は瓜を抱く
清瀬 六朗
第1話 瓜と空気、朝
おなかのまんなか、いや、まんなかよりちょっと下に
両手で軽く支えて、瓜が落ちないようにしなければいけない。
だから、体は右にも左にも傾けられない。
姿勢よくしていなければ。
両手は、
瓜の位置を。
だから、顔はまっすぐ上に向けて、姿勢正しく寝て、膝は、両膝を均等に軽く折る。
瓜。
瓜。
おなかの上には瓜はない。
空気が、あるだけ。
だから、両手の幅を少しずつ縮めていっても、手は何にも触れない。
両手に縮められた空気の圧力で目が開く。
オレンジ系のフレグランス、温かい感触でいいんだけど、蒸れるとしつこいな。
だいたい、オンラインなんだからフレグランスは関係なかった?
いや。
そうもいかないか。
フレグランスでこっちの気分が変わるからね。
見えているのは白い天井。
その天井に似合う白い照明はいまは消えている。
リビングの向こうの窓から
「あ」
朝になったんだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます