7. 屋敷探検①
うぉぉぉぉぉ予約投稿が仕事してねぇぞぉ!
てことで2話投下します!!
ほんっとにごめんなさいいいい<(_ _)>
――――――――――――――――――――――――――――――
ということで、早速屋敷探検である。
ズボンに着替え、探検する気満々の私をリリちゃんは呆れ顔で見つめる。
「アカリ様.......いくらなんでも張り切りすぎです.......」
ちょっと思ってたんだけど、やっぱその語尾調節できるんだ。
コンコン
「アカリ様、準備はよろしいですか?」
あ、セーズさんだ。
王城で着てたドレスを着替えるために、一旦出て行ってもらってたんだよね。
リリちゃんは他の雑務があるので、セーズさんと二人きりらしい。
デ、デートって.......こと!?とニヨニヨしてたら、またリリちゃんに変な顔で見られた。しょぼん。
「では一度玄関まで戻りましょうか」
✳︎ ✳︎
セーズさんに華麗なスルースキルを発動された私は、玄関までやってきた。
便宜上玄関と言っているが、日本みたいに段差があったりするわけではない。
屋敷の真ん中には真っ白な螺旋階段があり、上は勿論地下にも続いてるようだ。
階段を取り囲むようにドアが並んでいる。
「ここは特に説明もいらないでしょうが、玄関です。この国では、外で履いた靴は家の中で使用しません
。富裕層は室内履きを、下町の市民たちは裸足で過ごします。私たち使用人は主人の脱いだ靴の汚れを落とし、部屋まで持っていきます」
室内履きって言っても、使用人はかっちりした靴を履いている。
大体の貴族とかはスリッパみたいな靴を履くらしいんだけど、アルはいつも靴を履いてるんだって。
いつ襲われても大丈夫なようにだってさ。警戒心すごい。
ちょっと日本ぽくて安心した。
最初は裸足だったし、セーズさんの鬼畜マナー講座を受けてたしで、全然気づく余裕がなかった。
「ちなみに、屋敷の中も白いほど格調高いとされているのですよ」
確かに王様の城びっくりするくらい白かったもんなぁ。
この屋敷も確かに白い部分は多いんだけど、所々に木が使われててあったかい感じがする。
私はこっちの方が好きだな〜。
セーズさんは説明しながら、左側の扉に向かう。
手前は私の部屋(仮)だ。
「こちらはアカリさんが使われている客間ですが、奥も同様の部屋です。ジークハイド家は旦那様がああいう性分なので、来客が少ないんです。そのため、客間も最低限の2部屋しかありません。勿論、この客間にも使用人部屋があります」
そう、私の部屋のすぐ隣に使用人部屋があって、すぐ来れるようになってるの。
繋がってんだよ。覗き放題で最高じゃん。
この3日間はリリちゃんが居てくれたみたい。
「間取りも同じなんだ?」
「ええ、寝室とリビング、水回りが揃っております」
一応覗いてみたけど、本当に同じだったよ。
白い壁と床に、色違いのソファとか机とかあって、絶対ダブル以上はあるベッドが奥の部屋に置いてあった。
トイレとお風呂もあったし。
てかお風呂あるのマジで嬉しいんだけど。大体こういう世界ってシャワーだけじゃんね。
そのまま私たちは玄関のちょうど向かい側にやってきた。
「ここは応接間です。サロンとも呼ばれます」
両開きの扉を開けると、大きな窓が二つあり裏庭で出られるようになっている。
丁度夕日が差し込んで綺麗だ。
窓で区切られた庭に色とりどりの花が咲いていて、なんだか胸がキューとなる。
左手にはソファやコーヒーテーブルが置いてあり、右手には丸いテーブルやワゴン、食器棚などが置いてある。
食器棚には細かくデザインされたカップやお皿が飾られていた。
アルってお茶会とかすんの?
中央あたりにはグランドピアノがあり、乱雑に楽譜が置かれている。
客間はホテルのスイートルームって感じだったけど、めっちゃ貴族ぽい......!
「すごい!急に貴族感増してきた」
「基本的に来客があった場合にここを使います。屋敷の顔とも言える部屋なので、常に綺麗に保たれています」
「客間とは何が違うの?あとピアノは何のために?」
「客間はお客様が泊まる際に使用します。ピアノは見合いの時に客人が弾いたり、旦那様が趣味で弾かれるのですよ。今後はダンスの練習や勉強もこの部屋で行うので、アカリ様もよく使う部屋になりますね、フフフ」
その笑い怖いからやめて?
やっぱり貴族だからお見合いとかあるんだねぇ。
結婚の予定とかあるのかな?いや、そんな予定があれば私を家に連れてったりしないか。
ピアノから右側に何もない空間があったのは、踊ったり出来る様にってことね。
それに、あの表情筋がピアノ弾くはギャップありすぎて、逆に面白くなってきた。
「アルがピアノって意外だね」
「故郷でお母様がよく弾いていたのを、ぼんやりと覚えていると聞きました。旦那様は両親を早くになくされているので、それが記憶に残った唯一の思い出だそうですよ」
いや笑えん。いじれんやんけ。泣いちゃうわよ。
「それ私に言っていいの?」
「アカリ様は無粋な言動はなさらないでしょう?」
いやその信頼なに?普通に惚れるが?
「やっぱりセーズさん、結婚しましょう」
「フフフ、あと10年後くらいに考えましょう」
セーズさんの華麗なスルースキルを再度発動された私は、今度は右奥の部屋に来ていた。
ここはキッチンみたい。いや、キッチンというより厨房の規模だ。
ピザ屋さんみたいな石窯があったりするけど、意外と設備は現代のものに近い。
流石にIHとかガスコンロとかではなさそうだけどね。
洗練されているというよりは雑多な感じがする。
今はコックさんいないみたい。その代わり、袖を捲ったメイドさんが何かを切っている。
下拵えか。邪魔しないように静かに見よ。
コソコソと見てまわった中で印象的なのは、コンロやシンクの蛇口に澄んだ宝石がついてること。
「セーズさん、この宝石はなに?」
「あぁ、これは魔石ですよ。魔物の体内にある魔石は、魔物が使える魔法属性の魔力が詰まった石なんですよ。なので、水属性は水道に、火属性は蛇口やコンロに使えわれています。客間のお風呂やトイレにも、設置されていますよ」
あれ、そうだっけ?全然気づかなかった。
てかやばい。めっちゃファンタジーしてる!私、ファンタジーしてる!
そう興奮していると
「明日からは嫌と言っても逃げられないくらい魔法の勉強をするので、楽しみにしててくださいね」
とセーズさんに言われてしまった。
その笑顔、怖いけどクセになるってばよ......
キッチンからそのまま繋がっているのはダイニングだ。
丁度私が使ってる客間の向かいだね。
中には貴族モノでよく見る細長い机がある。
周りは絵画や小物が飾られているだけで、本当に食べるためだけの部屋みたい。
「アカリ様は今まで客間で召し上がっていたと思いますが、明日からはここでアル様と一緒に食事をしていただくことになります。旦那様はいつもお一人で食事なさるので、私としても嬉しい限りです」
そう言うセーズさんは本当に嬉しそうで、でもちょっと寂しそうで。
その理由を聞きたかったけど、なんとなく答えてくれない気がして、私は違う質問をした。
「アルしか使わないってちょっと勿体無いね」
「勿論、来客があればここでテーブルを囲みますが、年に2、3度来れば良い方ですから......
なので、昼のみ使用人たちはここで食事をしているのですよ。
アル様は大抵外に出ていますし、いらっしゃっても書斎に籠っていることが多いんです。
普段の食事は地下なのですが、仕事中は1階で集まる方が楽ですからね」
なるほど、色々考えられてるんだなぁ。
ちなみにアルが昼ダイニングで食べる時は、その後にみんなでご飯食べるんだって。
基本使用人は主人より後に食べないといけないらしい。
まぁそれぞれ仕事の時間に差があるから、適宜時間ができた人から食べるって感じらしいけど。
コックさん大変だこれ。
「これで1階は全て回りましたね。次は地下にいきましょうか」
✳︎ ✳︎ ✳︎
セーズさんにエスコートされながら地下に来た。
この階は1階ほど広くはないみたい。
階段を挟んで2つの部屋しかないようだ。
あ、ちなみにこの屋敷は地下1階、地上3階建てらしい。でかい。
階段から注がれる光以外には光源がなく、ひんやりしている。
夏とか気持ちよさそうだ。
セーズさんが壁に付いている出っ張りをパチンと下げると、なんと電気がついた!
いや、よく見ると天井についている魔石が光っているだけみたい。
光の魔石みたいな名前なんだろな。
「玄関側から見て左が貯蔵庫、右が使用人ホールです。まずは左から行きましょうか」
セーズさんは二重に締められている貯蔵庫の鍵を開けると、中は食材が大量に入っていた。
有事の際の備蓄でもあるらしい。
ここの鍵は料理長とセーズさんしか持ってないんだってさ。
貯蔵庫には窓がないので、ここも光の魔石(仮)を使っているようだ。
セーズさんがスイッチを入れると、より詳細に見える。
私が見たことない食材もあったりして楽しい。
今度料理長と一緒に料理してみたいな。
特にこれ以上見るものはないので、使用人ホールなるところへ行く。
ここは使用人が食事を取ったり、寛いだりする場所みたい。
大きなテーブルに椅子がたくさん乗せられている。
右側を見ると、5人くらいは座れそうなソファが2つと、コーヒーテーブルがいくつかあった。
壁際にはボードゲームやトランプもどきなど、娯楽品が収められてる。
天井あたりには細長い長方形のガラスが嵌っていて、入ってくる光がエモい。
明かり取りの窓らしい。
「朝晩はここで食事を取るのですよ。たまにはお酒を持って騒いだりもします」
セーズさんは少し楽しそうに目を細めた。
思い出してるのかな。尊い。
「執事長って一人でご飯食べるイメージだけど、みんなと食べるの?」
「えぇ、部下の不満を聞けたりもしますから。仕事の延長戦ですよ」
いや仕事人すぎる。そこも好きだけど、ちょっと心配。
「セーズさん、私に言われてもって感じだけど、ちゃんと休んでくださいね」
「フフ、アカリ様は優しいですね。大丈夫ですよ、これでも休んでますから。
お気遣いありがとうございます」
いや絶対大丈夫じゃなくて草。
これ以上言っても聞かなそうなので、今は諦めよう。
それに、セーズさんの微笑みは「はいそうですね♡」と言いたくなる魅力がある。
魔法だったりして。いやまさかね。
「さて、次は2階へ参りましょうか」
「はいそうですね♡」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます