第48話 東京に到着

 無事、羽田に着いた。北海道から帰ってくると、東京の夜景は全くと言っていいほど見ないうちに着陸だった。太平洋の方から千葉県上空を通って東京湾から入って来るのだろう。

 スーツケースが出てくるのを待った。あの壊れた持ち手がどうなったか、心配しながら待っていたが、出てきた瞬間言葉を失った。結んでおいたバンダナの結び目が取れ、かろうじて持ち手に引っ掛かっている。バンダナが落ちて無くなっていてもおかしくなかった。バンダナは失くさずに済んだのだが、持ち手の部品が失われていた。ネジとか、そういう細かい部品が。

 私が疲れているだろうから、途中の駅で降りてタクシーで帰ろうと夫が言ったが、乗った電車が急行で、結局最寄り駅まで乗って行く事になった。前回、一人旅で羽田から帰って来た時には、途中でトイレに行きたくなって大変だった。その話をして、今日はそれに比べたら全然平気だから、と私は言った。


 翌日、洗濯やら掃除やら、忙しく過ごした。朝起きた時から喉が痛いと思っていたが、東京は暖かいし、特にこの日は暖かい日だったので、薄着をして過ごした。少々胸の辺りが寒い気がしたのだが。

 翌日、発熱した。前日にちゃんと暖かくしていれば熱は出なかったのだろうか。それとも、北海道で何やらウイルスをもらってきて、どうあがいても発熱しただろうか。さいたまマラソンのボランティアに行くはずだったその翌日月曜日、まだ熱が下がらずに欠席してしまった。夫が、

「疲れさせちゃったのかな。」

と言ったが、一人で旅行した時に比べたら全然疲れていなかった。スーツケースは持ってくれるし、道に迷ってウロウロしないし。少々食べ過ぎのきらいはあったものの、お腹を壊しているわけでもない。発熱中も食欲はあったし。コロナの検査キットは持っていたので調べたら、陰性だった。インフルエンザの方は分からない。ちょうど日、月と連休だったので病院に行かなかった。しかし、家族の誰もうつっていないところを見ると、そういったはやり病ではなさそうだ。ずっと鼻の調子が悪かったし、北海道は気温が低く、乾燥もしていたのだろう。

 熱は2日続いて下がり、鼻かぜも1週間するかしないかで良くなった。そうしたならば、そろそろあれだ。映画だ。

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