第41話 アイヌ語

 アイヌ語があちこちに書いてあるが、そのアイヌ語を学べるというタッチパネル式のクイズがあった。考えてみたら、アイヌ語には文字がないのだ。

 私は学生時代、英語、中国語、フランス語と第三外国語まで学習した。私の所属していた学科が、第三外国語が必須だったわけだが、第三外国語は英会話や、第二外国語の会話の授業を取っても良かったので、ほとんどの学生がそうしていた。英語の他に2つも外国語を学習しようという人は少なかった。だが、私はそうした。

 あらゆる言語がどのように成り立っているのか、英語と似ているのか日本語と似ているのか、知りたかった。実際、中国語は語順が英語やヨーロッパの言語と同じで、つまりはラテン語と同じだった。だが、1つの音に1つの意味を持たせているところが、ヨーロッパの言語とは違う。フランス語は英語と語順が同じで文字列も似ている物が多いが、案外イントネーションは日本語に近い。つまり、アクセントがあまりつかず、平坦にしゃべる。

 韓国語は、発音は中国語と似ているようだが、子音が次の言葉にかかっていくところが、英語と似ている。しかし語順や、助詞があるところが日本語と同じである。もちろん、中国から伝わったと思われる熟語は、日本のそれとほぼ同じ意味で、音も似ている。ちなみに、タイ語には過去形がないのだとか。状況で判断するらしい。アジアの言葉(少なくとも中国語、韓国語、タイ語、日本語)では、肯定する時に「うん」と言い、返事をする時には「はい」と言う。それらが共通しているのが面白い。親近感が湧かないか?

 それはさておき、アイヌ語は立地的に、韓国語と日本語の間くらいの言語ではないか、という憶測があった。今まで全くと言っていいほど学ぶ機会がなかったアイヌ語。子供用のクイズだとしても、今回初めて学べるのかと思って、すごく嬉しくなった。早速クイズを開始。

 すると……なんと、助詞がない!驚き。語順は大体日本語などと同じかなと思うが、主体となる言葉がきて、次は……その時は覚えてどんどんクイズを解いて行ったのだが、やっぱりしばらく経てば忘れてしまう。この時には、会得したと思ったのだが。

 言語学習のほかにも、子供が遊びながら学べるものが多数あった。ちょっと、国立科学博物館に似ている。同じ国立だし、あの手法を取り入れたのだろう。何しろ科博は人気だから。米一俵の重さを持ってみよう、なんていうやつは、こうやって減らされていったんだよ、という虐げられた歴史を学ぶもの。子供はそれを理解するだろうか。

 展示を見終わって、13時。そろそろお昼にしようじゃないか。チラリとここの1階を見たら、本が置いてある部屋があった。どんな本があるのだろう。興味が湧く。

 展示室を出る時に、アンケートのQRコードと、アイヌ語の単語一覧表をもらった。わー、嬉しい。単語の音はカタカナと英語で書かれていて、意味は英語、中国語、韓国語、日本語で書かれている。何々?絵本「おばけのマールとすてきなことば」に登場するアイヌ語だと?

 「こんにちは」が2種類ある。あれ、「イランカラプテ」って、どっかで見たような……あ、最初に見たポストに書かれていた言葉じゃないか?なるほど、最初に見るから「こんにちは」か。

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