第38話 ウポポイ
白老駅に到着し、列車を降りた。まだまだ列車には観光客がたくさん乗っている。皆さん苫小牧まで行くのだろうね。
白老で降りる人はあまりいなかった。駅も小さめ。改札を出て、すぐ横にロッカーがあったので、そこにスーツケースを入れた。それからエレベーターで上へ上がり、渡り廊下を通って線路を越え、改札口とは反対側の出口から駅を出た。そしてウポポイを目指して歩く。先ほど、列車の中からそれらしいものを見かけたので、戻る格好だ。
太平洋側だから雪がないのかと思ったら、そんなことはなかった。日陰にある雪は凍っていて、ツルツル。むしろ札幌よりも歩くのが怖いほど。そして、広い公園の雪の上には、一面に足跡が!そうか、この辺には子供がいるのだな?この辺りは住宅街だものね。
着いたようだ。広い駐車場には多少車が止まっている。ああ、ポストが可愛い。普通ポストは赤いが、このポストは青色をしていて、ウポポイのマークがある。カタカナで「イランカラプテ」と書いてある。多分「プ」が小さい。なんだろう。
その内に看板が出てきて、「ソイネ アパ 出口 EXIT」と書いてある。あと、小さくハングルでも。これ、一番上に書いてあるカタカナは、もしかしてアイヌ語?
入り口を見つけて入った。いきなり雪像がある。ここのキャラクターのようだ。何々?「トゥレッポん」だと?「ん」だけひらがなだ。看板に、そのトゥレッポんの説明が書いてあった。トゥレプ(オオウバユリ)の年頃の女の子だそうだ。小さい頃は土の中で育って、年頃になったらイルプ(デンプン)になったり、美味しいお料理に変身すると。性格はのんびり屋さん。……だそうだ。
まっすぐ建物の方に進んだが、どうも右側に迷路のような物があって、ひょっとすると、そちらを通った方が良かったのかも。
広い所に出た。ぐるりと円形にお店が並ぶ。中央に入場口があって、その横にチケットを買う券売機があった。券売機へ向かう途中で、お店が目に入る。そうそう、今日は食べたい物がある。
「あのさ、ラムしゃぶは食べたけど、ジンギスカンを食べてないよね。」
私が言った。肉を食べたいと思って、羊でも鹿でも牛でもいいと思っていたが、しゃぶしゃぶは、思っていたのとは少し違う。ステーキとか、焼いた肉を食べたかったのだ。ここに、ジンギスカン定食の看板があった。まあ、実は昨日、ちらっと調べておいたのだ。私はどこかへ行こうと決まったら、どんなレストランがあるのかを確認するのが常である。それで、アイヌの伝統料理が食べられる店か、ジンギスカンが食べられる店か、そのどちらかだなと思っていたのだった。
「おお、いいねえ。安いし。」
と、夫も看板を見て言った。後でここに来ようという事で一致。チケットを買って入場した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます