第36話 3日目の朝食

 3日目の朝。今回目覚まし時計を持ってこなかったのだが、私が普段使っているのと同じタイプの目覚まし時計がホテルの部屋に置いてあったので、それを使って起きた。まあ、無ければスマホのアラームでもいいのだが。それに、7時に起きれば良かったので、大して早起きではない。大抵自然に目が覚める頃だ。今日は5時半に目が覚めて、ゴロゴロしていた。

 お化粧をしたら、また夏の旅行の時に起きた現象に襲われた。夏だからではなかったのか。それは、化粧が剥離していくという現象。ちょっと筋が目立つからと、顔の一部を擦ったら、どんどん塗ったものが剥がれていき、もう全部剥がれるー!となってしまった。慌てて水で顔を洗い、もう一度塗り直した。なぜこれが起こったかというと、いつもと違って顔や体にこれ1つでいい、というジェルを塗ってから化粧をしたからだ。そのジェルを少し厚めに塗ってしまった為に、こうなったのだろう。化粧下地にもなる、と謳う商品だが、かなりリスキーだ。

 そして、出かける支度を始める。ああ、いつもホテルの部屋の写真を撮り忘れる。最初に撮っておくべきなのに、最後になって思い出すから、ベッドがぐちゃぐちゃな状態でしか撮れない。よって、人に見せられないものになる。

 忘れ物をしないよう、枕の下やベッドの足元も要チェック。子供が小さい頃は、ベッドの下も見ないといけなかったな。必ず何か落ちていたものだ。

 札幌駅を9:38に出発する特急北斗に乗る。朝ごはんを買ってから乗るので、9時前にホテルを出た。チェックアウトはカードキーを返しただけだった。追加料金はないと分かっていたが、そのチェックさえなかった。何か、追加料金が発生するような事が、ホテルのシステムに存在しないのだろうか。朝食をやっぱりホテルで食べる、などと言ったら、その場で支払いだったのかな?

 ホテルに別れを告げ、駅へ向かう途中のコンビニの横で、

「アイス、買うんでしょ?」

と夫に言われ、私も決心した。憧れのコーンアイスを食べる(名前違うけど)。でも、暖かい車内で食べるぞ。アイスを食べるなら、その他には少しだけ……サンドイッチにしよう。というわけで、私だけがコンビニでさっと買い物をしてきた。した後になって、今回もまたQUOカードを使うのを忘れた事を嘆いた。QUOカード、交通費の代わりにもらう事が多いのだが、滅多にコンビニで買い物をしないので、なかなか使えない。旅行中ならコンビニも多用するというのに、肝心の旅行の時に失念しているとは。

 私の買い物を終え、札幌駅へ向かった。ちょうど9時頃とあって、大学生と思われる若者と大勢すれ違った。北海道大学の学生さんなのだろう。

 今度は夫の朝食を買う為に、駅の売店に立ち寄った。売店の入り口では、ホッキ貝カレーの試食販売をやっていて、なんだか勢いに押されて、その試食品をもらってしまった。貝のカレーとは、お初かも。貝の味はよく分からなかった。そこにはホッキ貝のお弁当も売っていて、夫はそのお弁当を朝食に選んだ。支払いはレジでという事だったのだが、その時にお弁当を売っている人に、

「1500円以上になると、福引が引けますよ。」

と言われた。それなら買う物があると、夫が店の中に入って行った。私も何となくブラブラと見る。しかし、ここは割と暖かいわけで、アイスが溶けるのが心配だ。

 とはいえ、せっかくなのでちょっとお土産も買ってしまおうか。可愛い物を見つけてしまったのだ。牛の顔の形の「べこ餅」というものや、牛乳瓶の形をした「牛乳もなか」とか。あと、北海道キャラメルバターというものも。列車のお供にキャラメルも良かろう。次男も喜びそうだし。

 夫が土産物などを選んで来て、私も自分が欲しい物を同じカゴに入れた。そして支払いをして、1500円を超えたので、福引を引く事に。

 末等の景品の中に、チーズ羊羹というものがあって、これが欲しいな~なんて言いながらガラガラっと回したら……球が2つ出てしまった。最初に出たのが緑、次に出たのが白。緑が当たりだった。

「カランカラン!おめでとうございます!」

と言われて(いや、カランカランは鐘を鳴らした音だが)、景品はレトルトカレーかエコバッグという事だった。私はちょっとチーズ羊羹に後ろ髪を引かれたが、せっかく当たったので、

「やったあ。」

と言って、エコバッグをもらった。「北海道いぶり」とローマ字で書いてある、紺と白の布のバッグ。しっかりしている。いぶりというのは、苫小牧や室蘭、登別などのある地方のようだ。バッグにそのような絵などが描いてある。名物、名産品の絵があれこれ描いてあるのだ。ホッケーとか苺とか、機関車とか恐竜とか。

 さて、買い物も終わったので、ホームへ。アイスクリームにとっては安心の屋外。今の時間帯なら零度以下だろう。ベンチに腰かけて、今買ったものを並べて写真を撮った。そして、私はサンドイッチを食べ始める。だってね、列車に乗ったらすぐにアイスを食べなければならないでしょ。溶けちゃうから。けれども、出来ればアイスは食後のデザートがいい。だから先にサンドイッチを食べたいのだが、そうするには、列車に乗る前の今しかない。寒いけれど。

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