第30話 海産物
14時に白い妖怪展を出た。道を渡ろうとして、赤信号だと気づき、慌てて引っ込んだ。足元の水たまりを気にしていたから、危うく渡るところだった。まあ、まだ信号が変わったばかりで、車が停まっていたから間違えたのだろうが。
振り返れば、今まで札幌中心部では見なかったような、雪の壁が広がっていた。地面も雪だが、両脇に壁のように雪が積まれている。真っ白。写真を撮った。
夫から連絡があった。ホテルに戻っているそう。一度戻るかと聞いてきた。ラムしゃぶの店に17時半集合という事になっていたのだが、買ったお土産をたくさん抱えているので、私も一度ホテルに戻る事にした。夫にそう連絡した。
来た道を戻る。また、公民館のようなところを通るので、行きにも利用したトイレをまた、利用してきた。そしてまた、うっかり左へ進んでしまい、大勢の人が黙々と勉強か何かをしている所に入ってしまい、びっくりしたのだった。ちゃんと考えたつもりだったのに、なぜ毎回そっちへ行ってしまうかな。
地下道を通っていると、長靴などが外に並べてある場所にやってきた。ワゴンセールのようなものに、
「エイヒレ半額!」
と書かれた札が。ちょうど、お土産の事を考えながら歩いていた。たくさん甘い物を買ってきたけれど、長男の好きそうな物を1つも買っていないなーと。長男は魚介類が好きなのだ。エイヒレ、珍しいし、半額なら買おうか。
覗き込むと、エイヒレは千円だった。これが500円になるのだろう。隣にはたこカマ500円というのもあった。これも長男が好きそうだ。よし、この2つを千円で買おう。そう決めたが、他の物もチラリと見てみる。するとホタテの大袋があった。これもいいなと思ったが、一袋6400円と書いてあった。元々8600円なのが値下がりしているようだが、お高い。辞めておこう。
エイヒレとたこカマを手に取ったところで、お店のおっちゃんがやってきた。
「エイヒレ、珍しいでしょ?」
と。そして、私が2つの袋を手にすると、
「これね、こっちの4倍入ってるの。」
と、エイヒレの3600円の方を指さした。そっちは見えていなかった。
「これ、1500円でいいよ。」
と言う。更に、
「これ、賞味期限が6月って書いてあるけど、冷凍すれば1年もつから。」
とも言う。そう言われると、そっちの方がお得な気がしてきた。それじゃあ、たこカマとそれとで2千円で、と言ってお財布を取り出した。おっちゃんは、私が買うと言った2袋を預かり、奥へと向かう。ビニール袋に入れながら、
「ああ、あとこれ、ホタテはどう?」
と言う。もしや、私がさっきチラリと見たのを知っているのか?
「量が多くなっちゃうから。」
と言って断った。持ちきれないよと。しかしおっちゃん、諦めない。
「これ買ってくれたら、今の2つはオマケに付けるよ。」
と言う。え?それってどのくらいお得?と考えたら、
「ええい、面倒くさい。全部で6千円でいいよ。6千円でこれ3つ、どうよ。」
と言う。うーん、何か分からないけれど、
「じゃあ、6千円。」
現金6千円を渡した。
「これ、絶対安いよ。普通そんなんじゃ買えないよ。」
と言いながら、3袋をビニール袋に入れてくれた。エコバックも持っていたのだが、無料でくれちゃったのね。ちゃんと有効活用するのでご安心を。
まあ、エイヒレも込みだから安いとは思う。ホタテはたくさん入っているし。でも、やっぱり元々が高いような。特にホタテは、他でもうちょっと安く売っている気がする。でもまあ、いいか。ただ、後々家に帰ってからパッケージを見たら、エイヒレはそもそも冷凍保存だった。だから、冷凍で6月が賞味期限だと思われる。北海道の外に置いてあればいいかもしれないが、東京じゃ全然持たないでしょ。でも、書いてあるのはー18度以下だから、流石にここもそんなに低い温度ではないでしょうね。たまにはそんな日もあるのかもしれないが。
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