第28話 中庭

 レジでもらったカードに、LINEでアンケートに答えると、ISHIYAチョコレートタブレットが当たる、と書いてあった。これもお高かったやつ。欲しい。早速店の前にあった椅子に腰かけ、QRコードを読みこんでアンケートに答えた。

 一息ついて、水筒のお茶を飲んだ。そうそう、水筒の中身はどうしたかを書いていなかった。家からカフェインレスのお茶のティーバッグを持参していたので、今朝ホテルの部屋のケトルでお湯を沸かして淹れたのだ。こう、ちょこっと飲みたい時に水筒は便利。しかも、温かい状態で持ち歩ける。

 さて、荷物を整理して、最初にもらったチラシを改めて見た。隣の建物で「白い妖怪展」がやっているとか。チラシを見せると入場料が100円引きになると書いてある。行ってみよう。

 だが、その前に中庭へ行ってみなくては。夜ならイルミネーションが綺麗なのだろうが。外へ出ると、少し日が差していた。ずっとどんより曇り空だったが。まあ、とにかく建物が綺麗。ヨーロッパのお城か何かみたいだ。そして、今出てきた建物は、北欧建築のような。よく分からないけれど。そして、例によって雪が地面にあるので、それだけで装飾されたようだ。

 赤い2階建てバスが停まっていた。これも装飾のようで、よく見ると電飾がいっぱいくっついている。夜には光っているのだろう。ここはイギリスをイメージしてあるわけだ。そういえば、最初の絵画はフランスやオランダ、真実の口はイタリア、そしてここはイギリス……。統一感はない。しいて言えばヨーロッパ。つまり、チョコレートはヨーロッパで考えられたものだから、という事かな?

 あれ、ツリーハウスもある。大木の上に家があるやつ。そして、売店も。これもあれも、屋根に乗っかっている雪は本物なのだよな。東京で12月に野外イベントなどがあると、偽物の雪で屋根や木を装飾する事がよくある。だが、これは天然の雪なのだ。

 売店も可愛い家だが、売っている物も気になる。ソフトクリームも売っているが、スープやホットチョコレートもある。チョコレートドリンク、飲んでみたいけどなぁ。お昼だし、スープもありかなぁ。と、迷ったけれども辞めた。

 更に奥にも何やら人形などが飾り付けてあって、雪をかぶってかわいらしい。でも、ここへ来る人は稀だ。向こうは駐車場なのだろうか。警備員のような人がいるだけだった。

 中庭をぐるりと一回りして、門のところへ戻って来た。おお、またもや雪がちらちらと降って来た。お日様が顔を出しているのに、こうして雪が舞うなんて素敵。寒いけど。

 門を出た。ここから左へ行くと……。

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