第10話 札幌へ~持ち手が!
飛行機は無事、新千歳空港に着陸した。15分遅れだったが。機内は暑かったが、飛行機を降りたら涼しい。でも、まだまだ寒いというほどではなかった。
11時半の予定が11時45分ごろに到着した飛行機。無事スーツケースを回収できた。預け機はどこでも良かったのだね。そろそろ12時ではあるのだが、スープカレーのお店に行くなら札幌に行ってしまった方が良さそうだ。朝ごはんも遅かったし、すぐ電車もあるみたいだし、札幌に行ってしまおうという事になった。空港からすぐに電車に乗れた。この電車も少し遅れが生じていた。
普通の車体の電車で、座れなかった。トイレにも行ってこなかったが、実はこれに40分くらい乗っているのだ。少し不安になったが、車内にトイレがあるという放送があったので、一応安心した。結局行きたくならなかったのだが。
ポシェットの他に、サブバッグを持っていた。そこに、マフラーやダウンパンツ、ダウンジャケット、グローブ、ニット帽を入れていた。これら、防寒着はいつから着る事になるのか。分からないまま持っていた。
途中座席が空いたので、夫が私に座れと言い、私は夫から少し離れたところに座った。そして、本を読んでいた。しばらく乗っているから、読書に没頭していた。終点まで乗って行くのだから、あまり身構えなくていい。
すると、まだ終点ではないのに、夫が私に手招きしている。もう着くのかと思って本をしまい、立ってそちらへ行くと、
「これ、解除するのどうやるんだっけ?」
と言う。解除というのは、スーツケースの車輪が動かないように、ロックを掛けたから、それを解除する方法という事だ。
「ああ、それはこのボタンを……。」
と言いながら、思い出した。このボタン、調子が悪いんだった。しばらく使っていなかったから忘れていた。ロックは、三角形のボタンを上から下へ押す。解除は、丸いボタンを横へ押す。本来は、丸いボタンを押すと三角形のボタンが上へ上がるのだ。でも今、丸いボタンを押しても三角形のボタンが上がらない。
とにかく、ちょっと広い所へ行こうと夫が言った。座席と座席の間の通路にいたから。それで、私が先に出入口の扉の前へ行き、夫がこちらへ来ようとしたら、
「あ!最悪!」
車輪が動かないので、持ち手を持って動かそうとしたら、その持ち手がポンと片方抜けてしまったのだ。うそ、そんな事ある?
抜けてしまった持ち手は、転がす時に引っ張る方ではなく、それとは別についているゴム製のものだ。片方抜けて、留め具が落ちた。それを拾って、夫はポケットに入れた。広いところへ何とか持って行って、私は色々と道具を出してロックの解除を試みた。以前、どうやって解除していたっけか。確か、何か尖ったもので……。私はシャープペンシルを出し、三角形のボタンを引っ張り上げようとした。何度かやったら、無事に三角形のボタンが上がった。これで、車輪は動くようになった。でも、タイヤが1つ割れているし、持ち手は壊れてしまった。もう最悪。久しぶりに使ったからとはいえ、ひどすぎる。
札幌駅に着いた。まずはスーツケースを買うしかない、と夫が言った。でもその前にお昼を食べようという事になった。もう13時近い時間なのだ。夫が、泊まるホテルのすぐ近くにスープカレーのお店があるから、そこに行こうと言った。
改札を出て、北口の方を目指して歩き、外へ出た。そうしたら、わあ、地面に雪が。
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