第5話 札幌へ出発
2月7日水曜日。飛行機は、あまり早いのも疲れるからと、10時のフライトを取っていた。だから、最低料金の7千円台よりも高い。9千円台になった。それでも、普通の運賃に比べたら安い。
前日は21時半頃に帰宅して、それから洗濯をしておいたので、7時に起きれば充分だった。だが、5時頃に目が覚めてしまい、結局6時には起きてしまった。新聞をゆっくり読んでから出かけようと思ったのだ。いつもは私が起きても寝ている夫も、流石に気が張っているのか、私が起きるとじきに起き出して、さっさと支度をしていた。それでも、家を出る予定の時間まではのんびりしていた。
こんなに朝から余裕のある旅行は初めてだ。最近早起きになってきたのは歳のせいか。でもまあ、マラソンのボランティアをやるようになって、早起きに慣れてきたのかもしれない。早起きと早支度かな。ああでも、前日までは忘れていたスーツケースの鍵の事を朝になって思い出した。カードキーなのだ。以前はスーツケースの中に入れておいたのに、いつの間にか外に出てしまったのだろう。スーツケースは次男の部屋の押し入れに入っていた。その辺りにあるだろう。ちょうど次男がまだ旅行に出かけていていないので、朝早く押し入れの中を探しに行ったら見つけて、鍵を持って出る事が出来た。
そう、このちょっと大きいスーツケースは久しぶりに出したのだった。コロナ禍以降は使っていない気がする。家族旅行に使っていたが、子供が大きくなってからはそれぞれ自分の荷物は自分で持つようになって、あまり大きいスーツケースは使わなくなっていた。だから、コロナ禍以前も、何年か使っていなかったのではないか。スキーに行く時には使っただろうか。ただ、実家に行く時には、プレゼントを入れて持って行く事もあった。泊りがけではないのだが、そのプレゼントが大きかったりするので。それも、ここ最近はなかったような。
この、久しぶりに出したスーツケースが禍をもたらす事になるとは、家を出るまでは考えもしなかったのである。
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