第47話

『せんぱい、みてみて〜』


 送られてきたのは白帆の自撮り。どこかの居酒屋だろうか、テーブルにはお酒と料理が並んでいた。

 深い赤色のワンピースに銀色のピアス、普段見ない私服姿に目を見張る。


「こっちは仕事終わりだってのに」


『そんな疲れた先輩に白帆ちゃんのスーパーかわいい写真で癒されてもらおうと』


 どこからくるんだその自信は……いやまぁ実際かわいいんだが。

 なんというか、ガードが緩いというか。


「お前酔ってるだろ」


『こんなんじゃまだまだよってませんよ〜。それで、かわいい?ねぇかわいい?』


 漢字変換もできないくらいには酔ってると。

 絡んでくるのダルすぎる。というか目の前に一緒に飲んでる人いるだろうが。


 ベランダを開けると冷たい風が肌を撫でる。そろそろ夏みたいな服装もやめなきゃなぁ。


「明日休みだしもう寝る準備したいんだが」


『え〜!まだこんなじかんじゃないですか』


 時計を見ると23時と15分、いい時間じゃねぇか。こんな時間まで外で飲んでんのか。

 というか終電そろそろな気がするが……。


「お前終電大丈夫なの」


『今日は朝まで飲むんです〜〜!』


 若いっていいな。そう思った瞬間、手元のスマホが振動する。電話だ。

 緑色の電話マークをタップしてスマホを耳に。


『あ、お世話になります。先輩さんで合ってますか……?』


 耳元からは聞いたことのない声。

 あれ、白帆からのはずだったが……思わず画面を2度見する。


「あれ、白帆のはずじゃ」


『ごめんなさい!私、このバカの友人の柚木と申します。一緒にお酒飲んでたんですが、この子スマホいじりだしたかと思えばペースが早くなって』


 なにをしてるんだあいつは。


『それで、突然電池が切れたみたいに寝ちゃってどうしようもなくて。さっきは朝まで飲むとか息巻いてたのに』


 口だけは達者だからなぁ。

 見切り発車が過ぎる。


「はぁ……すんません、迷惑かけて」


 俺が謝るのもおかしな話だが。


 仕方ないか。

 白帆はまだ俺が風呂に入ってないことに感謝して欲しい。


「わかりました、迎えに行きます。」


『ほんとごめんなさい……場所はこのスマホから送りますね……』


 一応部屋着から私服に着替えて外へ出る。

 終電ギリギリだし帰りはタクシーだろうか。


 もう大人なんだから自分の面倒は自分で見ろよ、なんて頭で悪態をつくが、思わず頬が緩むのを止められなかった。



 

◎◎◎

こんにちは、七転です。

ボツにしたやつをさっき間違って投稿しちゃってました(´>ω∂`)


読んでくださった方はご放念ください……!

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