第44話
「よしじゃあ行くぞ」
スーツに革靴、ビジネスバッグと社畜然とした出で立ちで街を歩く。
今日はとある家具メーカーの展示会にお邪魔することになっている。今回ご縁があってインテリア雑誌の取材をさせてもらうことになった。
ここ数年で急成長した会社ということもあって、さぞかし優秀な人がたくさんいるんだろう。
「これ絶対総務の俺要らないだろ……」
「仕方ないです!課長命令なので!」
数年で要らん知識ばっかり付けやがって。
2人して帰り道とは別の電車に乗る。
「なんだかこういうのって遠足みたいでワクワクしません?」
こいつ、思考回路が企画課向きすぎだろ。
「インドア派なおじさんは早く帰って仕事終わらせたいです」
「突然真顔で敬語になるのやめてください、面白いので」
ガラガラの電車を見て驚く。平日昼前の電車ってこんなに空いてるのか。
毎日これくらいの時間に出勤したいものだ。
「今日お昼ってどうします?多分打ち合わせまで時間ありますけど」
「うーん、終わってからだと遅いよなぁ。なんか食いに行くか」
途端に目がキラキラと輝き出す白帆。この時間設定してる時点で狙ってただろこれ。
「やったー!!私ラーメンがいい!」
「ばか、仕事の話しに行くのにニンニクはまずいだろ」
「誰も気づきませんって!歯磨きもしてブレスケアも買いましょう!」
いやぁそれでもなぁ。初めて会うわけだし……。
「よし分かった白帆、ここは取引と行こう、昼ラーメンやめる代わりにだな」
「その条件、呑みました!晩に行きましょう。せんぱいの奢りで」
「おい、読むな人の心を」
ドヤ顔で腕組みしている後輩にツッコミを入れる。
「あれ、間違ってました?」
「合ってるからたち悪いんだよ……。」
普段見ない景色へと俺たちを連れてきた列車の旅もここで終わり。
並んで電車の外へと足を向ける。
うちの会社の最寄りと違ってビジネスビルだけではなく、大学やショッピングモールなどが立ち並び、活気に溢れている。
「晩がラーメンなら昼は麺類やめとくか」
「あ、そうだ先輩!せっかく外の気温も気持ちいいので」
彼女はコンビニを指差す。
「サンドウィッチとか買って公園で食べましょ!」
◎◎◎
家具メーカー?妙だな……。
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