第5話 うーむ!
☆
何故かドキドキが止まらない。
一体何故なのかは知らない。
だけどとにかくドキドキが止まらない。
全てはアイツ。
菅原のせいなのだが。
何か知らないが彼女にドキッとしてしまった。
俺は訳が分からない感じのままだったが菅原に甘える事にした。
右腕の骨にヒビが入っている為もあるが。
菅原から「動くな」というお達しの為、動けない為もある。
「先輩」
「ああ。どうした?」
「後で勉強も教えてください」
「は?待て待て。お前は頭が良いじゃないか。何故だ?」
「勿論、頭は良いですが私は先輩に色々と教わりたいので...」と言いながら俺を上目遣いで見てくる菅原。
こ、コイツは。
思いながら俺は首を振ってから「わ、分かった」と返事をした。
「お前、将来悪女になるぞ。絶対」
「なりません。何故なら私は周りがみんな私を。いや...違う。先輩が居ますし」
「いや。あのな...」
「私は先輩のお力もあり今を生きてますよ」
そう話しながら俺を見てからクスッと笑い。
それから「それはご褒美です。だからそれまで頑張ります」と菅原は言う。
俺はその言葉に口元に手を添える。
「いい加減にしろ。恥ずかしい」
「そうですか?あはは。すいません。もう止めます」
「何でお前はいつも恥ずかしい事ばかり言うんだよ。全く」
「そうですね。私にも分かりません。あはは」
そう言いながら菅原は俺から視線を外す。
何かかなり恥じらっている様に見える。
耳まで赤い。
それならあれこれ言うなよ...。
「先輩は恥ずかしい事ばかり言いますから。お返しです」
「???...いや待て。言って無いだろ。恥ずかしい事を。全てお前が言ってる」
「そんな訳ないですよ!」
「いや!?」
全くコイツ!
これまであれこれやった癖にいきなり否定するとは!
この野郎め!、と考えながらも溜息を吐いた。
それから苦笑する。
「...でもどうあれ。菅原が俺を助けているのは事実だから。有難うな」
「当たり前の事をしているだけです。ただ貴方の事が心配なだけですから」
「...」
俺は菅原を見る。
それからギプスを見た。
情けないなこれ。
そう考えていると菅原が俺に向いた。
「先輩。私、暫く先輩の家に通います」
「は?いや。待て?!どういう事だよ!?」
「言葉通りです。先輩の事が心配です」
「いやしかし。お前の迷惑だろ」
「私は構いません。だって私は...私は」
俺をじっと見る菅原。
それから何かしら言いたげだったが押し黙る。
そして俺を見るのを止めてから駆け出した。
俺はその姿を見ながら「?」を浮かべる。
それから俺は菅原が洋服を直しに行ったので勉強道具を取り出した。
右手が使えないのが面倒だ。
正直に言って、だ。
☆
菅原が戻って来たので俺は菅原と勉強する事にした。
菅原が腰掛けてから俺は対面に座る。
すると菅原が目をパチクリした。
ん?
「先輩?何でそこに座るんですか?」
「え?いや。何でって。普通は対面じゃないか?」
「先輩。教えるのにそこじゃ意味無いです」
「しかしお前。じゃあどうするんだ」
すると菅原は俺の横に来た。
それから胸を押し当てるぐらいに近付く...オイ!?
何でだよ!、と思いながら菅原を見る。
「これぐらいないと。対面じゃ教え辛いですよ。絶対に」
そう言いながら菅原は俺の横で鼻歌交じりに色々と準備する。
何かおかしい俺が。
いやまあ何故なら菅原を意識してない筈なのに菅原を女の子として見ている!
「?...先輩。どうしました?」
「な、何でもない」
「???」
俺はドギマギしながら否定する。
何故?いや。
一体何故なのか全然分からない!
思いながら俺はそのまま勉強に没頭する為に首を振ってから集中力を高めた。
それから俺は菅原を見る?
「で。菅原は何が分からないんだ」
「あ、はい。実はですね...」
そして特に何事も無く時間は過ぎる。
それから俺は集中していると「そ、そういえばお父様は」と菅原が聞いてくる。
俺は「今日は遅いかな」と言いながら菅原に笑みを浮かべる。
菅原は「ですか...」と言いながら言い淀む。
ん?
「い、今思いましたけど」
「ああ。どうした」
俺はモジモジする菅原を見る。
菅原は「二人きり...ですね」と言葉を紡いだ。
まさかの言葉に俺も赤面する。
それから暫く考え込む。
確かに2人きりではあるが!
「だ、だからってやましい事をするなよ菅原さんや」
「わ、私ですか!?最悪ですね!そんな真似しません!最悪です!」
「そ、それなら良いけど!」
「先輩は私を何だと思っています?!」
「性欲オバケ?」
「最低ですね!?」
真っ赤になって頬を膨らませる管原。
まあ何というか!
何も起こらないから!
き、期待してないしな。
動揺はするけども!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます