第3話 大切な妹


私は今はお爺ちゃんとお婆ちゃんの家で暮らしている。

実の所、私はリスカ以外にも何度も自殺未遂を起こし右足の動きが若干不安定などの障害が微妙に残っている。

親からは「自殺が趣味なの?」と皮肉めいて吐き捨てられた。

まあとは言ってもこれは私が全て悪いのだけど。


私が...根性が無かったから。

だからこうなったから何も言えない。

妹に勧められて大好きだったものを次々に辞めざるをえなかったが。


「だけど」


こんな事でくよくよしてられない。

何故なら先輩をまだまだ助けないといけない。

大好きな...先輩。

私が好きな先輩を。


「やっぱりこれは恋愛感情なのかな」


恋愛の本を読む。

そんな事を呟きながら私は考えた。

すると「お姉ちゃん」と声がしてくる。

私は顔を上げてから周りを見渡す。

その声の主は私の唯一の味方の妹だった。


「美幸」

「...どうしたの?悩み事?」

「...うん。私、好きな人が出来たと思う」

「あ。そうなんだね。...それはおめでたいな」


菅原美幸(すがわらみゆき)

中学2年生の女の子だ。

特徴としては私と違って長髪をしている。

そして頬笑みが絶えない様な姉想いの泣き黒子のある少女。


「...良いなぁ。私も好きな人が出来ないかな」

「とはいっても私もまだそう思っただけ。...だから私が本当に好きかどうかは分からないかなって思う」

「うん。でもそれは恋だと思うよ。お姉ちゃん。きっとね」

「...そう思う?」

「お姉ちゃんは...人思いだから」

「...私はそんな感じじゃ無いけど」


そう言いながら私は椅子に腰掛ける美幸を見る。

美幸はそうして椅子をくるくる回す。

私は「何の用事?」と聞くと美幸は「あ、うん。宿題を教えてもらおうって思って」と笑みを浮かべる。

私は「そう」と言いながら美幸を見る。


「私で良かったら」

「だってお姉ちゃん勉強熱心だから」

「美幸も勉強しているでしょ」

「私は有能じゃ無いよー」

「有能ってそんな訳ないよ。アハハ」

「でも私はお姉ちゃんは天才だって思うけどな」


天才か。

足が動かなくなってピアノもまともに出来なくなった私が天才。

まあ天才じゃないと思うけどね。

そう言ってくれるのはこの世界で自らが親にちやほやされ嫌がって天才を嫌う美幸だけだろう。

家を...一緒に出たのも美幸だった。

一心同体に近い。


思いながら居ると美幸は天井を見上げてから「私ね。思うの。お姉ちゃんが...こうした運命に居るのもきっと何か良い事がある為の料理で言えば前菜じゃないかって」と笑顔になった。


「...有難う。美幸。貴方だけだよ。そう言ってくれるのは」

「例え自殺未遂を起こしたとしても...いや。違うか。私は貴方を今度こそ...全てから救うから」

「...美幸...」

「私は...後悔しか無いよ。そんな感じになったお姉ちゃんを。だからこそ彼氏が出来そうって聞いて嬉しかった」

「...そうだね」


そして私は美幸を見る。

美幸は頷きながら椅子で回転するのを止めた。

それから降りてから私を抱き締めてくる。

「大丈夫」と言いながら、だ。


「私、告白した方が良いと思う。その人に」

「まだ自覚した訳じゃないよ。...あくまで可能性的にそうじゃ無いかって話」

「...可能性でもずっと前から一緒な人でしょ?その...悟先輩」

「何でそれを!?」

「だってお姉ちゃんとずっと一緒の人って悟先輩しか居ないし」

「かなわないね。やっぱり美幸には」

「いやいや。誰が見てもそうだとしか思えないよー」


美幸は笑顔になりながら私の横に腰掛ける。

それから少しずつ他愛無い話をした。

まあでも恋愛の話に近いけど。

そして私はその中で決断をし始めた。


「美幸。私は...もう少しだけ先輩の様子を見てから告白する」

「例えピアノが出来なくても貴方は貴方らしい個性があるよ。お姉ちゃん。だから頑張って告白して。応援してる」

「...そうだね」


私は美幸に笑みを浮かべる。

それから私は決断をした。

先輩に告白する、と。

そう思いながら私は居た。


そう。

まだこの時点では私はまともで良かった。

だけど私は徐々に壊れ始める。


そのきっかけ。

何故私自身が壊れ始めたかというと。

先輩が...菅宮に再び裏切られた事によるものだった。


私は絶対に菅宮に近寄らせない。

そう思っていたのだがそれは上手くいかなかった。

先輩は菅宮の関係者にフルボッコにされた。

その事を知ったのは先輩が手を怪我した事による。


あの時。

私は怒りが絶えなかった。

そして私は徐々に狂い始める。

その事は...後の話だが...。


☆2時間前☆


俺はコンビニに行ってから帰っていると男達に絡まれた。

2人の大学生っぽい奴らに。

俺は因縁を付けられたことに「???」と思いながら見る。

すると奥から菅宮が出て来た。


「...菅宮。これはどういう事だ?」

「...ごめんなさい。この人達がお金が欲しいって言ったからじゃあ巻き上げようって話になっ手止めれなかった。そして...今に至ったの」

「...それで何で俺なんだ」

「巻き上げやすい奴を...指定されて」

「...」


震える菅宮。

やれやれだな。

そう思いながらゴツイ大学生どもを見る。

それから見ていると「お前金持ってんだろ」と言われた。

俺は「そんな奴に見えるか?」と言う。


「良いから金を出せ」

「そんな脅しが...」


そこまで言うと容赦なくいきなりぶん殴られた。

それから地面に倒れる俺。

そしてそのままボコられてから意識が半分無くなった。

そうしてから通行人が通報したお陰で助かったが。

財布を盗られた挙句。


腕の骨にひびが入り全治1か月と診断された。


正直こんな目に遭うとは...。

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