第39話 エピローグ
海から吹き上がる風が心地良い。
真っ白なドレスと正装に身を包んだ私とユーリさまはブロッサム領にて行われているお披露目のパーティーの真っ最中だ。
この後二度の衣装替えがある。
「おめでとうございます」
王都から駆けつけてくれたアレックスさまとファルマさま、カイン殿下とイルマさん、領地からわざわざ足を運んでくれたガレインさまとレオナさまに祝いの言葉を貰う。
「アリアさんは残念ね」
「一番楽しみにしていたものね」
そう、先週アリアは神聖国に向かい旅立った。
神聖国にいる大聖女が倒れたため、素質のあるものを広く召集したらしい。
アリアに着いてハインさんも神聖国へと旅立った。
カイン殿下は卒業後直ぐにイルマさんと結婚するつもりらしく、今は王都に残ったイルマさんに休日の度ハーレン伯爵領について学んでいるらしい。
イルマさんも領地と王都を往復しながらカイン殿下を迎える準備に追われている。
アレックスさまは順調に王宮魔法師の道を歩んでいる。
ただ、ファルマさまを魔法省に入れるのを大反対して年内には婚姻をするらしくファルマさまは現在花嫁修行中らしい。
侯爵家を継がないアレックスさまは王都に屋敷を買い、今はファルマさまと二人屋敷に住むための準備をしているとか。
ガレインさまとレオナさまは、レオナさまがガレインさまの領地にて既に女主人としての手腕を奮っている。
嫡男であるガレインさまは侯爵を継ぐための準備に入ったらしい。
そのガレインさまをしっかりと支えるレオナさまの噂話は王都にいる家族からも聞いていた。
卒業パーティーのあの日、騒ぎを起こしたアルフォンス殿下とクララ嬢がどうなったかは私は直接何も聞かされていない。
家族はもちろん、ランドール公爵家の皆もユーリさまもカイン殿下も「心配いらないよ」としか伝えられていない。
ただ、深く聞くべきじゃないんだなというのは噂に乗って聞いたアルフォンス殿下の王籍剥奪という話を耳にし、我が家をはじめとした貴族側が何かしら動かしたのは気付いてしまったので、それ以上耳に入れないようにした。
私とユーリさまは卒業後すぐにブロッサム領に入り、伯爵として活動を始めたユーリさまを支えて日々を過ごしている。
「寒くない?」
「暑いぐらいやって」
「でも冷やさないほうが良いんでしょ?」
ユーリさまがケープを私の肩にかけながら私を座らせた。
「無理はしないでね」
「心配し過ぎやって」
先月、妊娠がわかってからユーリさまは今まで以上に私に過保護になってしまった。
転生に気付いて卒業パーティーでの断罪回避に奔走した日々はもう遠くに過ぎた。
色々あったけれど全て懐かしい思い出になり、前世の記憶もかなり薄くなってしまったけれど、まだまだ続く未来に私は目を向ける。
そんな私の一人目の娘が私の妹の生まれ変わりだったとか、ちょっと意味がわからない。
なんでやねん。
※※※※※
これにて本編は完結となります。
この先は番外編として、登場人物のお話が少しだけ続きます。
マルグリッドの妹マリエンヌ、カイン殿下とイルマ、アレックスとファルマ、アルフォンス。
彼らのお話も良かったら覗いてみてください。
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