第26話 対策会議
私とアリアは集まった友人たちに自分たちが転生者であること、今居る世界が著しく前世でやっていたゲームに近いことを話した。
私とアリアが前世で母娘であったことは伏せた。
ファルマさまやイルマさんは驚愕という表情を、カイン殿下やアレックスさまは何か考えている様子、レオナさまは話をするアリアの手を握り、ガレインさまとハインさんはウンウンと頷いている。
「でもあの話とは色々変わってきていて、マルグリッドさまの婚約者はアルフォンス殿下ではなくユリウスさまだし、アレックスさまやガレインさまも側近候補ではなくなっているし、そもそも私はアルフォンス殿下は苦手だし、カイン殿下は別にアルフォンス殿下を追い落とそうと暗躍なんてしてませんよね?」
「吝かではないけど敢えてする必要もないかな、第一、王太子は兄さんだし私も王位継承権は二位でアルフォンス兄さんより上だしね」
「ですよね、ゲームではアルフォンス殿下が第二位でカイン殿下がアルフォンス殿下の存在が恥ずかしいと言って罠にかけようとするので」
「アルフォンス兄さんに罠をかける労力すら惜しいかな、ない罠にかかりそうな人だし」
言いたい放題である。
「それにしても、皆さんは私やアリアが前世の記憶があることには疑問などないのでしょうか」
私は全くそこを気にしない面々に向かい問いかけてみた。
「ああ、本当に時々なんだけど居るんだよ前世にこことは全く違う世界の記憶があるって人。そういう人たちがもたらした技術もあるからね」
アレックスさまが私の疑問に答えてくれた。
「近年で大きなものだと下水の施設だね、あの知識と技術のおかげで圧倒的に流行病が減ったのだもの」
「有名なところだと長距離の船旅にビタミンの不足を提唱した話かしら、壊血病とその予防法が出回ったことで安定した船の運行が出来るようになったと」
ファルマさまやレオナさまが話してくれたことで、私やアリアの話を信じてくれているという安心感がようやく生まれた。
そんな私の背中に手を回したユーリさまが背中を撫でてくれる。
目を合わせれば柔らかな眼差しがぶつかった。
「なるほど、確かに似ているな」
「けど、ヒロインは私の筈なんだけどなぁ」
「そう言えば、アリア嬢はアルフォンス兄さんと結ばれなくて良いのかい?」
「え?嫌ですよ」
「不敬だってば」
「性格に難しかないじゃないですか、私の性格で王族に入るのも絶対無理だし」
「そうとも限らないんじゃないかい?」
「無理ですよ、貴族社会でも息苦しいのに、それに私は聖女になりたいんですよね」
「前にも言っていたわね?」
「聖女になって神殿に就職したら給料凄く良いんです、今のお父さんやお母さんに少しでも返したいんですよ」
アリアはグッと握った手を胸に置いた。
「アリアさんは凄いわね、私も将来は領地に帰ることを考えているけど、具体的にどうしたいからとかは考えてなかったわ」
イルマさんがアリアに目を向けるとアリアは恥ずかしいのかはにかむように笑った。
「でも、クララなんてゲームには居なかったんですよね」
「続編とかじゃなく?」
「うん、あんまりにもモラハラ男子が多すぎてあれからすぐサ終したから」
サ終、サービスの終了か。
だとしたらクララは何者なのだろう。
「ちょっといいかな」
「ユーリさま、どうかなさいました?」
「アリア嬢が言っていた強制力が二人の知る未来に近づけようとする不可視の力かもという話だったけど、現状を見るとクララ嬢は二人と同じ前世の記憶があるのかも知れないよ」
ハッとユーリさまを見る。
「だから知っている知識通りだと思っているから、的外れな話をするんだろう、記憶に引っ張られているのかもね」
「なるほど、ならば防ぎ方や避け方も自ずと見えてくるな」
「私はどうやらお助け役のようなので上手く誘導することも出来るでしょう」
「私やアレックス、ガレインは彼女からの接触を極力避けた方が良さそうだな」
「あ、なら俺とイルマで情報収集やってみるよ」
「そうね、多分私とハインが一番動きやすそうだし」
「マリーは私と一緒に居る時以外一人にならないようにね」
「はい」
クララへの対応の方向性を決めて、その後は楽しいお茶会となった。
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