第17話 オリエンテーション
慌ただしい四の月が過ぎ五の月になると年間で最初の大きな行事がある。
それがオリエンテーション。
予めグループを作り三日ほどの日程を使い定めた目標を達成する、例えば剣士や騎士などは山中に一夜砦を築いたり、魔法ならば新しい試みに挑戦してみたり。
私とユーリさまは一年生二年生の頃のオリエンテーションは錬金術に挑戦している。
一年生では山中の材料を使ったポーション作り、二年生では状態異常ポーションを作った。
このグループ分けは前半後半に別れて開催される。
先ずは前半AからCクラスで目的に応じてのグループを作る。
後半はDEクラスで作るグループと別にFクラスのみと分けて行われる。
そう、ヒロインの一番最初にある選択と出会いイベントがこれ。
騎士や剣士のグループに行くか魔法に行くのかそこで最初に出会うのがアレックスさまになったりガレインさまになったりする。
私とユーリさまはその中でどの攻略対象にも被らない錬金術を選んだ、勿論ゲームのシナリオ回避もあるけど領地に帰っても役に立つからというのが大きい。
因みにゲームでは剣士や騎士のグループにアルフォンス殿下が入っているんだけど、現実のアルフォンス殿下はDからFクラスのオリエンテーションに参加しているため私やアリア嬢とはここで顔を合わせることはない。
「マルグリッドさまは今年も錬金術のグループに参加されるのですか?」
そう聞いてきたのはファルマさま。
「ええ、錬金術のグループの予定よ」
笑って答えるとファルマさまはうーんと唸った。
「私も今年は錬金術もいいかなって思ってるんです、魔術師団に入る予定もないですし」
「ファルマはそうだよね、私は卒業したらガレインの領地で騎士団にしばらく入る予定だから今回も騎士グループにするけど、ファルマは卒業したらそのままアレックスさまの侯爵家に行くんだろ?マルグリッドさまは本当に錬金術グループでいいの?」
話を聞いていたらしいレオナさまがひょっこり顔を覗かせ会話に加わります。
「ふふ、本音を言えば魔道具グループも本当はちょっと興味があるんです」
「じゃあ今年は二人で魔道具グループに入ろうか」
私の隣の席に座ったユーリさまの声です。
「え、それは申し訳ないですから」
「魔道具は私も興味があるからね、そんな顔しなくて大丈夫だよ」
伸びてきた手がふわりと頬に触れました。
「相変わらずラブラブだよねぇ」
「マリーさまとユリウスさまは私たちの憧れですからね」
少し暑い春らしい陽射しの差す教室に私たちの笑い声が広がっていた。
ユーリさまとの話し合いの結果魔道具グループに入る事になった。
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