第11話 作戦会議

 何処まで信じてくれるかはわからなかったけれど兎に角伝えれるだけは伝えてみようと私は口を開いた。

 前世の記憶のことや第二王子のアルフォンス殿下からの婚約破棄と断罪については説明しやすかった、ただ乙女ゲームについては理解が難しいのかユーリさまは私の話を聞きながら幾つも質問をした。


 「うん、嘘というには筋が通っているね」

 「信じてくれるんですか?」

 あ、焦ってなんか色々な言葉が混じってしもた。

 「マリーの話だもの、僕は信じるよ」

 ニコリと笑ったユーリさまが首を傾げる。

 その仕草にドキッと胸が高なる。

 「僕はその乙女ゲームっていうお話では攻略対象っていうのじゃなかったんだね」

 「はい、ヒロインにアドバイスする側でしたしそれにユーリさまの顔もわからなかったので」

 「そっか、でもそれなら万が一ヒロインが学園に来ても上手く誘導出来るかな」

 ん?誘導?

 「それより先手を打つことも可能だよね」

 えっと?先手?ユーリさま?

 「うんうん、その辺はこれからゆっくり相談しようか」

 笑顔が、笑顔の圧が強いんやわ。

 ユーリさまの笑顔に絆され(脅され)私はコクコクと首を振り子のごとく何度も縦に振った。

 「とりあえずはダン男爵とアリア嬢について調べようか、アリア嬢が実在するのかっていうところからだね」

 もう何にも言えまへん。

 あっ!と短く叫んでユーリさまが隣に座って私の手を握った。

 びくりと私の肩が跳ねる。

 「マリーは時々出る言葉が本来の言葉遣いなんだよね?」

 「そ、そうで、すね」

 「なら、僕といる時は本来のマリーの言葉で話して欲しい」

 「で、でも淑女らしくないですし」

 「ダメ?」

 「ダメというか、可愛くないですし」

 「大丈夫、マリーは可愛いよ」

 なんなん?ホンマ、これが十四歳の言葉かいな!

 惚れてまうやん、いや、惚れてるとは思うんやけど。

 「どうしても、ダメ?」

 ぐいっと身を乗り出すユーリさまに体が自然に引いてしまう。

 「うっ」

 「お願い」

 ニッコリ微笑みながら眉下を下げるユーリさま。

 これ、断れる人なんかおやんやろ。

 「わ、わかりました!わかりましたから堪忍や」

 「ふふ、ありがとう」

 なんや絶対勝てる気せんわ、そもそも勝負はしてへんねんけど。


 あれからユーリさまと話し合った結果、アルフォンス殿下との婚約を既になかったことにしてしまっているため現状ではすぐに対応出来ることもないため私とユーリさまは予定通りに領地の視察を行うことになった。

 到着三日目に歓迎の晩餐会が催され、領地の有力者と顔合わせを無事に済ませると領都の視察という名前の観光をし、のんびりとした領都の日々を過ごしたあとユーリさまが任される予定の領地へ向かった。

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