『女の子どうしって、ややこしい!』2.txt

【見出し】親友を支配する


 自分の残酷なふるまいに気づいていない女の子もいる。私が大学で知り合ったローマは、一番の幼友だちジェーンにいじめられた話をしてくれた。ジェーンは面と向かって「あなたなんか火事で死ねばいい」とののしることから、わざわざクラブをつくってローマだけ参加させない、という手の込んだいじめまで、ありとあらゆる攻撃をしかけてきた。いたずら電話をする、着ているものをからかう、ほかの子に意地悪させる、ローマの友だち思いのところをばかにする、といった具合だ。しかし同時に、「彼女には魅力があったわ。ジェーンに気に入られてるあいだは最高なの。彼女、楽しくて、おかしくて、とにかくすてきだったのよ」。苦しみは八年間続き、九年生になったとき、二人はついに別れた。

 ローマが二十三歳のとき、ジェーンの母がローマの母エレンに電話してきた。ローマの電話番号を教えて、ジェーンがローマと話したがっているのよ、と。エレンは「娘にはその気がないわ」といった。「どうして? 二人はあんなにいい友だちだったじゃない」とジェーンの母は不思議そうにいった。エレンが子どもの頃のジェーンのふるまいについて話すと、彼女はびっくりしたようだった。

 それからまもない休日、ローマと親友のサリーが家に戻り、カフェでのんびりしていると、ジェーンが入ってきた。ローマはいう。「彼女は、まるで私がいないようにサリーに話しかけはじめたの。『私、いまサンフランシスコに住んでるんだけど、あなたの親友もそうじゃなかったかしら?』とか」。ついに、ローマはジェーンに、「何かいいたいことがあるの?」とたずねた。ジェーンは向き直った。「私のこと友だちじゃなかったなんて、どうしてお母さんにいったの?」彼女は泣きだした。「友だちじゃなかったなら、どうして私、あなたが寝るとき足を毛布の上に出すのが好きだとか、ピーナッツバターが嫌いだとか、知ってるのよ?」ジェーンがさらにいいつのるのを、ローマは身じろぎもしないで聞いていた。自分たちの関係について、これほど見方がちがっているとは思わなかった。ローマはどう答えたらいいか、わからなかった。




※レイチェル・シモンズ著・鈴木淑美訳『女の子どうしって、ややこしい!』(152-153頁、草思社、2003年)より引用。



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